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[社説]政府は対北朝鮮人道主義支援を堂々と実行すべき

登録:2017-11-21 05:07 修正:2017-11-21 21:42
北朝鮮の子どもたちが平安北道香山のある幼稚園で、国連世界食糧計画(WFP)が提供した食べ物を食べている=国連世界食糧計画提供//ハンギョレ新聞社

 政府が今年9月、北朝鮮に対する人道支援の再開方針を発表してから2カ月が過ぎたにもかかわらず、いまだにこれを履行していない。ユニセフと世界食糧計画(WFP)などの要請に従い、800万ドルを支援すると発表したのが9月21日だ。当時、チョ・ミョンギュン統一部長官は「人道支援は政治的状況と切り離して推進する」という文在寅(ムン・ジェイン)政権の方針を強調した。統一部は、北朝鮮の乳幼児の状況がどれほど深刻かを伝え、支援が「急がれる」と明らかにした。ところが、政府は「支援の時期や規模は南北関係の状況などの全般的な環境を総合的に考慮して推進することにした」という言葉だけを繰り返している。「人道支援と政治的状況を切り離す」と言っておきながら、「南北関係の現状を考慮する」とはいかがなものか。

 政府の立場を理解できないわけでもない。北朝鮮は変化した姿を全く見せていない。国内世論を意識すると同時に、ドナルド・トランプ政権にも気を配らなければならないだろう。しかし、今回の対北朝鮮人道支援は“直接支援”ではなく、“国際機構を通じた支援”だ。対象も乳幼児や女性など脆弱階層に限られている。国際機関は現場に接近できなければ支援を行わないため、憂慮されてきた“転用”の可能性もない。また、国連機構の要請によるもので、国連の北朝鮮制裁決議と衝突するところもない。国連制裁は“北朝鮮政権”を締め付けようとするものであって、“北朝鮮住民”を対象にするものではない。バラク・オバマ政権の決定によるものではあるが、米国も今年ユニセフに100万ドルを支援した。

 最近、板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)を越えて来た北朝鮮兵士の体から寄生虫がたくさん見つかったという事実からも、北朝鮮の一般住民がどのような状況に置かれているのかが十分推察できる。北朝鮮の5歳以下の子どもの死亡者数は1千人当たり25人(韓国は3人)に達する。子どもの死亡原因のうち22%が医薬品だけあれば治療が可能な下痢と急性呼吸器疾患だ。国際社会の支援でこの子どもたちの命を救うことができる。人道支援は政治ではなく、ヒューマニズムの問題だ。政府は堂々と北朝鮮に対する人道支援を実行すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/819876.html韓国語原文入力:2017-11-20 19:11
訳H.J

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