登録 : 2017.10.29 20:26 修正 : 2017.10.30 06:44

安倍晋三首相が23日、東京の自民党党舎で記者会見をしている=東京/ロイター聯合ニュース
 10月22日に投票が行われた衆議院議員総選挙で、自民党、公明党の与党が3分の2以上の議席を確保して大勝した。この結果は、選挙公示の直前に最大野党民進党が分裂したことからの必然である。解散の直前、民進党の前原誠司代表は、小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党に合流するという奇策を打ち出した。しかし、小池氏は民進党からの参加者を選別し、憲法改正に反対する者を排除した。この排除という言葉が人々の反感を招き、希望の党への期待は急速にしぼんだ。最大野党の希望の党が首相候補を明確にしないまま選挙に臨んだ時点で、選挙結果は予想できた。

 しかし、この選挙には今までにない特異性がある。選挙戦の最中に朝日新聞が行った世論調査では、内閣支持率が38%、不支持率が40%と、支持する方が少数となった。また、今後も自民党を中心とした政権が続くのがよいと思うかどうかという質問に対しては、自民党を中心とした政権が37%、自民党以外の政党による政権が36%、安倍氏に今後も首相を続けてほしいと思うかどうかという質問に対しては、続けてほしいが34%、そうは思わないが51%という回答であった(同紙、10月19日)。安倍政権に対する飽きや不信は明らかである。

 安倍首相はさらに3,4年政権を続けることが確実となり、国会における多数を生かして、いよいよ念願であった憲法改正に着手することをほのめかしている。早ければ、来年の通常国会で改正案が発議され、来年後半に初めての国民投票が行われる可能性もある。

 国会の中では無敵の安倍政権であるが、民意という敵を軽く見れば失敗するだろう。先に紹介した朝日新聞の調査では、憲法9条を改正し、第3項に自衛隊を明記するという安倍首相の改憲案について、賛成37%、反対40%という結果が出ている。国会の3分の2以上の賛成で改正が発議されても、国民投票で承認されるかどうかは疑わしい。現行憲法の下でも日本の防衛は可能であり、改正を必要とする具体的現実が存在するわけではない。イギリスのEU離脱の国民投票を見ても、国民の意見が割れている問題についてあえて国民投票を行って対立を顕在化させることは、社会に大きな悪影響をもたらす。

 安倍首相は解散の際に、北朝鮮の脅威に屈しないと唱え、国難を打開するための選挙だと述べた。選挙後、麻生副総理は、与党の勝利は北朝鮮のおかげと発言した。安倍政権が北朝鮮への国民の恐怖や敵意を政治的に利用したことは明らかである。しかし、国難は内側に存在するのであり、政治指導者がそれを直視しないことが国難をさらに深刻化させている。日本は今、人口減少、巨大な財政赤字という構造的困難に直面している。表面的な株高の陰で、神戸製鋼や日産自動車などの大企業で品質検査の不正が行われてきたことが露呈し、世界一流といわれた産業部門でも腐敗が進んでいることをうかがわせる。賢明な政治指導者なら、不必要な憲法改正に時間と労力を使うのではなく、これらの実態的な政策課題の解決のために、国民に対して積極的な情報提供をしたうえで、打開策の決定、実施にまい進するはずである

山口二郎・法政大学法学科教授 //ハンギョレ新聞社
 安倍政治への対抗勢力が不在であることも、政治的国難である。分裂状況から再び政権交代を担える野党を再建することは急務である。今回の選挙で一躍野党第一党になった立憲民主党が、憲法の平和主義や国民生活本位の経済政策を望む民意を受け止めて成長できるかどうかは、日本の民主政治の命運を左右することになるだろう。

山口二郎・法政大学法学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2017-10-01 17:44
原文:http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/816544.html
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