日本の衆議院総選挙で当選した議員の63%が、憲法9条に自衛隊の存在を明記すべきという安倍晋三首相の改憲提案に賛成するという調査結果が出た。
共同通信は23日、衆議院議員当選者を対象に憲法改正に対する意見を調べたところ、このような結果が出たと報じた。同通信は選挙前の候補者らを対象に憲法改正を含めた主要争点に対する意見を問うアンケート調査を実施し、選挙後当選者の回答を集めて結果をまとめた。当選者465人のうち、同通信の調査に回答した人は409人だった。
政党別に見ると、自民党所属議員の90.7%、日本維新の会の議員80%が自衛隊存在の明記に賛成した。自民党と連立を組んでいる公明党は賛否がそれぞれ24%に分かれた。小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」では63.2%が反対した。保守性向の小池知事は今回の選挙期間中、憲法改正には賛成するが、9条だけに議論を集中させることには反対すると明らかにした。しかも、希望の党の当選議員の多くは、もともと野党の民進党出身だ。民進党の進歩系人物らが中心となった立憲民主党では97.5%が自衛隊の存在の明記に反対した。
毎日新聞も24日、衆議院立候補者全員を対象にあらかじめ主な争点についてアンケート調査を実施した結果をもとに、当選者たちの改憲性向を発表した。当選者の54%が自衛隊の存在の明記には賛成したが、憲法改正発議に必要な3分の2以上の賛成には及ばなかったと報じた。
憲法改正自体には多数が賛成するという調査結果も出た。朝日新聞が24日、東京大学との共同調査(回答率97%)して発表した内容によると、当選者の82%が改憲に賛成すると答えた。ただし、安倍首相が提案した憲法9条に自衛隊の根拠を明記する案には自民党議員の74%、日本維新の会の91%が賛成したが、連立与党の公明党では賛成が38%に止まった。賛成・反対のどちらとも言えないとした公明党議員が54%で、反対意見を明らかにした議員は7%だった。他の党では反対がいずれも過半数を超えた。
交戦権の放棄を宣言した憲法9条は日本の平和憲法の核心だ。安倍首相は今月5月、9条自体は変えないものの、自衛隊の存在を明記する条項を追加しようと提案した。9条の守護を支持する世論の反発を抑えつつ、平和憲法の根本を揺さぶるためとみられる。
憲法改正を発議するためには、衆議院と参議院3分の2以上の賛成が必要だが、アンケート調査結果だけで単純解釈すれば、安倍首相の提案に対する賛成はこれに及んでいない。しかし、北朝鮮脅威論が強調され、安倍首相の人気が再び高まれば、状況はいつでも変わる可能性がある。安倍首相は23日、記者会見で、第1野党の立憲民主党の合意を得たうえで、改憲を推進する意思があるかを尋ねる質問に、「合意形成のために努力する。しかし、政治であるため、すべての人の理解を得ることはできない」と答え、立憲民主党との合意が成立しなくても憲法改正に乗り出す意向をほのめかした。