対北朝鮮制裁は効き目のないお守りになってしまった。だとすればもう制裁の代わりに交渉を通しての解決策を模索すべきである。政府は「最大の圧迫」に同意するばかりが能ではない。困難であっても、対話と交渉の必要性の論理を精巧に整えて米国を説得しなければならない。
北朝鮮の核の挑発に対する国連の制裁はもう巫女のくれるお守りのような存在になった。米国が主導する国際社会の対応が、何か事が起きれば前後も考えずにまずお守りを買って貼る「お守りマニア」と変わるところがないように見えるからだ。今や制裁は北朝鮮の核挑発に対する条件反射のようになっている。 韓米日の首脳が7月4日の北朝鮮の「大陸間弾道ロケット」試験発射に対処して直ちに合意したのも、経済制裁に焦点を合わせた「最大の圧迫」の持続だった。
お守りを信じるのが迷信なら、時と条件を問わない「とにかく制裁」も迷信だ。これまで国連安全保障理事会は相次ぐ北朝鮮の核とミサイル挑発に対抗して、その意志をくじくために制裁一辺倒の措置を取ってきた。今回の決議が採択されれば、2013年以降6回目だ。新しい制裁をする度に「史上最強」という修飾語が付いて回り、とうとう去年3月に決定された制裁については韓国外交部が制裁の強度を誇示するために「最終決議」という極端な表現まで使った。しかし北朝鮮は6カ月後にまた第5次核実験を強行した。もはや制裁強度を表現する修飾語さえ底を突いた。
制裁の成功指標は北朝鮮が核開発を止めるか、あるいは核の挑発の代価として北朝鮮経済が窮地に追い込まれることである。しかし北朝鮮は制裁に反発してむしろ核能力を高度化させ、北朝鮮経済は毎年相当な成長趨勢を見せている。制裁が失敗したわけだ。
ドナルド・トランプ米大統領が「最大の圧迫」を主導しているが、成功は難しい。何よりも米国は自ら北朝鮮経済を圧迫する手段を持てないでいる。米国は制裁過程で既に北朝鮮とすべての経済関係を断絶して久しい。日本も韓国も同じだ。そんなわけで、米国は制裁の失敗を「中国の非協力のせい」にする「お前のせいだ!」の戦略を駆使して中国を圧迫している。
米国は中国が対北朝鮮制裁に「まともに参加すれば」北朝鮮を屈服させることができると信じているかも知れないが、それは錯覚だ。中国の対北朝鮮制裁で朝中貿易は既に大きく萎縮している。朝中貿易は2010年から飛躍的に増大したが、2013年以降中国が対北朝鮮制裁に積極性を見せるとともにブレーキがかかって足踏み状態に陥っている。北朝鮮の経済開放速度を考慮すれば、国連制裁がなかったなら両国の貿易規模は今より2倍程は増えたはずだ。これは中国の追加制裁余力があまり大きくないということを意味する。
それで米国は、今度は民生分野の交易まで禁止する超強硬な国連対北朝鮮制裁を採択させようとしている。中国が容易に同意しそうにないが、そのようになったとしても、それが北朝鮮を屈服させることはできないように思われる。その理由は、最近北朝鮮経済が新しい段階に入ったからである。 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は2010年中国指導部と経済の改革開放に合意し、金正恩(キム・ジョンウン)はこれを継承して2013年3月に開放政策を公式化した。 次いで北朝鮮は農業における「布廛担当責任制」と産業における「社会主義企業責任管理制」に象徴される、以前よりはるかに市場親和的かつ競争誘発的な経済改革を断行した。最近2~3世帯あるいは3~4人を単位とする「圃田担当責任制」を実施した結果、北朝鮮の農業生産力が約50%増加したと評価されている。
内需産業も速いテンポで回復して、中国産が占めていた国営商店の消費商品が大部分国内産に取り替えられた。全国400余りの市場では主婦と退職者110万人が商業に従事し経済活力を加えている。このような変化により北朝鮮経済は国連の強力な制裁を受ける中でもむしろ成長した。
全面的な経済封鎖措置が取られれば北朝鮮は当然打撃を受けるだろうが、既に内部的に一定の発展動力を具備し始めた経済構造が住民の耐乏を相当部分支えてくれるものと見られる。それならば北朝鮮政権が屈服する可能性は一層低くなる。
結局、対北朝鮮制裁は効き目のないお守りになってしまった。だとすればもう制裁の代わりに交渉を通しての解決策を模索すべきである。政府は「最大の圧迫」に同意するばかりが能ではない。困難であっても、対話と交渉の必要性の論理を精巧に整えて米国を説得しなければならない。その過程で一時的に韓米関係に緊張が造成されることもあり得よう。しかし韓国政府が悪循環に陥った北朝鮮核問題の突破口を作り、主導的に平和的解決を模索するには、この道を回避してはならない。
韓国語原文入力: 2017-07-16 18:08