1.包括議題の高位級会談提案
2015年、北朝鮮が高官級会談提案した典例も
最高権力者の真意の探索を望む可能性も
2.軍事会談の議題を追加
韓米合同軍事演習の中止など
北朝鮮の関心事項を付け加える可能性も
3.南北離散家族再会の条件付を論議
北朝鮮女性従業員12人の帰還を要求
受容するか否かをめぐり攻防の可能性も
政府が17日、軍事当局会談と赤十字会談を同時提案したことによって、北朝鮮も今後の対応策作りに腐心するものと予想される。
政府は北朝鮮の肯定的な反応を期待している。チョ・ミョンギュン統一部長官は同日、「北朝鮮が真に朝鮮半島の平和と南北関係の発展を追求し、過去の南北が合意した7・4共同声明や南北基本合意書、6・15共同宣言及び10・4首脳宣言を尊重するなら、私たちの誠意ある提案に応えなければならない」と求めた。ソ・ジュソク国防部次官も同日、軍事当局会談を提案しながら、「北朝鮮側の積極的な反応を期待する」と明らかにした。実際、統一部内外では、北朝鮮「労働新聞」が15日付けで、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「ベルリン構想」を詳しく批判しながらも、「6・15共同宣言と10・4宣言に対する尊重、履行を決意するなど、先任者たちとは異なる一連の立場が含まれているのは幸いなこと」と明らかにしたことをめぐり、「北朝鮮の評価が否定的であるわけではない」として、慎重に北朝鮮の対応を期待する雰囲気もある。
しかし、速断するのはまだ早い。北朝鮮がどう反応するかは大きく3つに分けられる。第一に、韓国が提案した軍事当局会談と赤十字会談など個別会談を拒否し、新しい包括的な議題を取り上げる会談を逆に提案する可能性がある。最近の行動からして、北朝鮮は発足したばかりの文在寅政権の真意を確認したがっているようだ。南北関係の改善に向けた意志はあるのか、「ベルリン構想」の真意は何かなどについて確認しなければ、今後の具体的な対南政策方向などを探ることができないからだ。したがって、北朝鮮は今回の機会を利用して文在寅政権の対北政策全般の雰囲気を探索できる新たな枠組みの接触や会談などを構想し、これを提案する可能性がある。実際、北朝鮮は2015年8月、南北の最高権力者の意思をよく代弁できるキム・グァンジン国家安保室長とファン・ビョンソ総政治局長間の高位級会談を提案したことがある。
第二に、北朝鮮が軍事当局会談と赤十字会談について別途の反応を示す可能性もある。しかし、この場合も、政府の会談提案を素直に受け入れるよりは、北朝鮮が望む議題を逆に提案する公算が大きい。韓国の軍事当局会談提案は主に「軍事境界線での敵対行為の中止」に焦点が当てられている。対北朝鮮ビラの散布や拡声器放送の中断、さらには、偶発的な衝突の防止などを主な内容としている。北朝鮮も、これらの問題についてはいわゆる「最高尊厳」の保護の観点から積極的だった。北朝鮮は昨年5月の第7回党大会で、「南北軍事当局の間で会談が開かれれば、軍事境界線付近での衝突の危険を除去し、緊張状態を緩和することを含め、相互の関心事になった問題を包括的に協議、解決して行けるだろう」とし、南北軍事当局会談を提案したこともある。したがって、北朝鮮が今回の軍事当局会談提案をあえて拒否する理由は見当たらない。しかし、北朝鮮がこれまで主張してきた「韓米合同軍事演習の中止」も議題に入れる逆提案で対抗する可能性もある。
第三に、北朝鮮は、赤十字会談の提案に対しても、離散家族再会行事だけを議題として受け入れることはないものとみられる。北朝鮮は昨年4月、中国内の北朝鮮レストランから脱北した女性従業員12人と、北朝鮮への帰還を求めてきた脱北者キム・リョンヒ氏の送還を要求してきた。北朝鮮は先月23日、民族和解協議会が公開した9つの公開質問状で、彼らの送還を「北南関係改善の意志を示す重要な試金石」と明らかにした。北朝鮮は、赤十字会談が開かれれば、これらの問題も取り上げるものとみられる。チョ・ミョンギュン長官はこれに対して「互いに提起できるものがあるはずだ。具体的なことは北側の反応を見てから検討する」と述べた。こうなると、軍事当局会談や赤十字会談の議題づくりをめぐり、南北間の長い攻防が繰り広げられる可能性がある。
北朝鮮が韓国の提案を黙殺する可能性もある。北朝鮮が何の反応も示さないまま、ミサイル追加発射や核実験を強行し、韓国を排除して米朝の対決構図を強化することで、朝鮮半島の緊張をさらに高める恐れもある。北朝鮮のこのような挑発は、北朝鮮初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星14」型の発射に対する国連安全保障理事会の制裁論議と重なった場合、発足初期に南北関係の修復の突破口を開こうとする文在寅政権に大きな打撃を与えかねない。