韓国政府が17日、軍事当局会談と秋夕(チュソク、旧暦の8月15日)離散家族再会のための赤十字会談を北朝鮮に提案したことと関連して、中国外交部は「朝鮮半島情勢の緩和に役立つ」として歓迎した。米国も強い拒否感は見せないと予想される。
中国外交部の陸慷報道官はこの日、定例ブリーフィングで「中国政府は南北双方が対話を通じて相互の関係を改善し和解協力を推進することが、両者の根本利益に合致し、朝鮮半島情勢の緩和に役立ち、地域の平和と安全を推進するのに有利と考える」と支持する立場を明らかにした。さらに「私たちは南北双方が積極的な方向で共に努力し、膠着状態を破り対話と交渉再開のための条件を作ることを願う」とし「関連各国も理解し支持するように願い、朝鮮半島問題を適切に解決するために建設的な役割をするよう願う」と強調した。
中国政府は朝鮮半島の緊張緩和が自国の利益に合致するという朝鮮半島政策の原則から直ちに支持する意思を明らかにしたと見られる。また、米国のトランプ行政府が北朝鮮と正常に取り引きしている中国の企業や銀行も制裁する「セカンダリーボイコット」まで持ち出している状況で、中国としては対話局面への転換が自国に対する米国の圧力を緩ませる役割をすると期待する面もある。
北朝鮮が対話に乗り出すように中国が説得できるかについて、 金景一北京大学教授は「現在は朝中関係が最悪であり、中国が北朝鮮を説得に動ける状況ではない」として「韓国が主導的に出て局面を切り替えるほかはない。韓国が動けば中国も支援に動くだろう」と見通した。金教授は「南北軍事当局会談がなされるならば、北朝鮮は韓米合同軍事演習規模縮小問題を提起するだろうし、韓国がここで突破口を作り出せば中国が主張する双中断(北朝鮮の核・ミサイル挑発と、韓米軍事演習の中断)とも接点が生まれ、韓国と中国が協力できる余地が広がる」とし「そうなれば中国も北朝鮮を説得できる状況になるだろうし、韓中関係でのTHAAD問題に対する立場も緩和されるだろう」と話した。
米国政府においても、軍事当局会談や赤十字会談は2つともドナルド・トランプ行政府の対北朝鮮政策である「最高の圧迫と関与」基調に反しないという点で反対する名分がない。トランプ行政府が、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射を契機に対北朝鮮圧迫の強度を高めているのは事実だ。だが、これは北朝鮮の核・ミサイルプログラムに使われる戦略物資と資金源を遮断することが目的だ。開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光再開のように北朝鮮に現金が直接入る南北経済協力に対しては米国政府が反対するだろうが、緊張緩和のための軍事会談や離散家族対面のような人道主義的事案に対する南北間の議論はこれに該当しない。
そのうえ、米国政府も北朝鮮に抑留されていた大学生オットー・ワームビア氏の釈放という人道主義的事案解決のために、5月にノルウェー・オスロで北朝鮮と「秘密会談」をした経緯がある。南北軍事当局会談も文大統領がベルリン宣言で「朝鮮半島の軍事的緊張を至急緩和しなければならない」として、すでに予告したことがあり、米国が驚くような事案でもない。
何よりも韓国政府の今回の対北朝鮮提案を控えて、韓米間で調整があったと考えられる。チョ・ミョンギュ統一部長官はこの日「米国側に事前通報をしたか」という質問に「協力がなされていると申し上げる」として迂回的にこれを認めた。ワシントンの外交消息筋も「韓米間の事前調整が良好になりつつある」と述べた。