国防部の面目が丸潰れだ。国防部首脳部の報告漏れが問題になったことで、今年初めに何かに追われているかのように急ぎ過ぎて“既成事実化”だと批判されたTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に、結局、ブレーキがかかった。
ハン・ミング国防部長官は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接「発射台の追加搬入」を確認するわずか2日前に、「そんなことがありましたか?」と反問したことで、隠ぺいを疑われ、調査を受けた。彼と共に、キム・グァンジン前大統領府国家安保室長に対し、監査院が職務監察を行う可能性が取りざたされる。“トカゲの尻尾切り”との意見もあるが、「国防部の花形」と呼ばれる国防政策室長が追い出されたのは、確かに組織全体にとって衝撃だったはずだ。
しかし、体面はその性格上、「総量保存の法則」が適用されうるものだ。誰かが無傷で体面を保てば、他の誰かはそれだけ(体面を)失うことになる。互いに少しずつ譲歩すれば、どちらにも「ある程度の体面」が保障される。国防部の体面が損なわれたのは残念だが、それだけ守られた体面は誰のものなのかを考えてみる必要がある。
それと関連して思い出されるのは、先月の特使団の訪中だ。王毅・中国外交部長はイ・へチャン特使の前で「黄教安(ファン・ギョアン)事態」を取り上げた。黄教安当時首相が昨年6月末、中国を訪問して習近平国家主席ら指導部と面談した時は「配備決定」について一言もなかったのに、それからわずか10日後、電撃的に発表してしまったということだ。中国の官吏なら誰でも暗唱する「戦略均衡を毀損するTHAADに反対」という呪文を、同日、特別に習主席が直接唱えたのに、韓国がこれを完全に無視し、中国全体の体面を傷つけたという意味でもある。
中国の厳しい報復処置がこの時「傷ついた体面」のためという見方もあることを考慮すると、その体面の回復は看過できないものだ。ところが、意図したものか偶然なのかは定かではないが、国防部が「報告漏れ」で恥をかかされる間、中国では“体面回復”が行われているようだ。
7日に行われた「環境アセスメント以後THAADの追加配備」という大統領府の発表は、中国で「配備暫定中断」(暫停)と訳されて伝えられた。中国当局が韓国と米国に要求してきた「THAAD配備プロセスの中断」を思い出させると同時に、今年初め、中国が北朝鮮に核・ミサイル開発の中断を、韓米には大規模な軍事演習の中断をそれぞれ求めた「双中断」(雙暫停)を連想させる表現だ。中国の要求がかなり反映されたようなニュアンスがあり、現実的にも中国が反対してきた年内の配備加速化は厳しいと思われる。また、中国官営メディアは朴槿恵(パク・クネ)政権が没落したのは「広範な民意を背いて、THAAD配備を推進した」ためと主張してきたが、朴槿恵政権が任命した官僚たちを新政権が叱責したことで、これも考慮された形となった。
楽観論者たちは、中国の体面回復が順調に進み、レーダーの探知方向や距離など一部の技術協議を経ると、“THAADをめぐる中国との妥協”もあり得ると主張する。朴槿恵政権であれ、文在寅(ムン・ジェイン)政権であれ、すでに搬入してきた兵器を米国に突き返すのは難しいからから、中国が受け入れるようにするしかないという現実論だ。そのような面で、国防部の恥は、もしかしたら、「三国志」の赤壁の戦いで敵に見せるためにわざと殴られ、恥をかいた後、曹操に偽りの投降をした黄蓋の苦肉の策のようなものかもしれない。
週末に映画が見たくなってスマートテレビをつけたが、数カ月前、一気に消えてしまった韓国映画は以前として見当たらなかった。韓国人院長目当てに通っていた美容院がいきなり閉店してから、新しく訪れた美容院にはまだ慣れない。中国内のロッテマートの大半は今も営業中断状態で、営業を続けている店も閑散としている。雰囲気が変わったという声もここでは空しく聞こえる。1カ月後にはTHAAD配備決定の発表から1年を迎える。