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[特派員コラム]“韓米日同盟”とは私たちにとって何か

登録:2017-04-13 23:26 修正:2017-04-14 07:18
太極旗と星条旗、イスラエルの国旗が並んで登場した弾劾反対集会の現場では「朴槿恵」に象徴される韓国の極右主義が米国の極右主義、そして「元祖選民」的主体であるイスラエルと同一視された。写真は1月14日に行われたソウル広場の救国祈祷会のある場面=ユーチューブ貯蔵//ハンギョレ新聞社

 私が記者生活中に自分の目で見た場面のうち最もショックを受けた場面はと問われれば、2006年9月ソウル市庁前広場で開かれた保守団体の大規模集会だと答える。「大韓民国のための非常救国祈祷会・国民大会」という名前のこの集会には、警察推算で5万人あまりの人々が集まり、私学法改正反対と戦時作戦統制権委譲交渉の中断を要求した。

 集会に参加した人波が打ち振る星条旗の波は、10年が過ぎた今でも忘れられない。今はもう保守団体の集会で参加者が星条旗を打ち振る姿を見ても、目障りと思うだけだが、当時は大きな心理的ショックを受けた。集会には前職の国防長官も参加して、国の将来のためにと言いながら韓国が戦時作戦統制権を譲り受けてはならないと声を高めた。朝鮮戦争がまだ休戦状態であり、朝鮮半島の軍事的対立状況が終了していないという現実は分かるものの、軍人が自ら作戦統制権を行使すべきでないと堂々と主張する姿には当惑せざるをえなかった。当時、集会を主導した団体の韓国キリスト教総連合会(韓キ総)と在郷軍人会、私学守護国民運動本部などは「私たちは韓米連合軍司令部の解体を決して望まず、作戦統制権の現体制を維持できるようにしてほしい」という内容を英文に翻訳し当時米国大統領だったジョージ・ブッシュに伝達した。

 日本に来て未だ一カ月にもならないが、朝鮮半島に緊張が高まっているというニュースが日本のマスコミを埋め尽くさんばかりだ。米国の航空母艦カールビンソン号が朝鮮半島近隣海域に移動して、ドナルド・トランプ米大統領は「すべてのオプションをテーブル上にのせている」として、北朝鮮に対する軍事的攻撃の可能性にまで言及している。

 日本のマスコミは“有事”事態という言葉で朝鮮半島の戦争状況を念頭に置いた報道を流し続けている。報道の内容はほとんどが日本に及ぼす影響に関する話だ。朝鮮半島で戦争が起きるならば、韓国に滞在中の日本人をどのように待避させるのか、北朝鮮が日本に直接報復攻撃をする可能性はないのか、などだ。日本政府はカールビンソン号が朝鮮半島に接近すれば、海上自衛隊と共同作戦をするよう交渉すると言っている。北朝鮮に対する牽制のみならず、東シナ海などでの米軍との共同作戦を通じて中国牽制まで狙うという話だ。安倍晋三首相は、朝鮮半島有事事態時は、米国の助けを受けて念願である拉致被害者の救出をすると明らかにした。現在は北朝鮮が許容しなければ現実的には拉致被害者を日本に連れていく方法がないが、戦争が起き米軍が朝鮮半島に上陸すれば、米軍の助けを受けて拉致被害者を連れてくるという考えだ。

チョ・ギウォン東京特派員//ハンギョレ新聞社

 すでに朝鮮半島での戦争の可能性を念頭に置いた日本のソロバン勘定が憎らしくも見えるが、冷静に考えれば日本の立場としては当然の計算だ。日本政府は日本と日本人の利益を最優先にするためだ。だが、あれこれ同盟関係で縛られてはいても、米国や日本とは異なり韓国は武力衝突が起きれば直接被害当事者にならざるをえない。戦争が起きうる場所は、韓国と北朝鮮の人々が一緒に暮らしている朝鮮半島だ。戦争が起きれば家族や知り合いを失うかも知れず、生活の基盤を奪われることになるのは朝鮮半島に生きる私たちだ。

 韓米日共助はそれ自体が目的ではなく、地域の平和と安全のために存在する。米国との関係だけを神聖視し、反米は絶対的にダブー視し、北朝鮮との対話は拒否するのが朝鮮半島に住む人々の安全のために賢明な選択であろうか。朝鮮半島に緊張が高まる時、政府関係者が堅固な韓米共助を繰り返し話すのを聞いているとなぜか悲しくなる。

チョ・ギウォン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/790614.html 韓国語原文入力:2017-04-13 18:25
訳J.S(1646字)

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