最近「4月朝鮮半島危機説」が急速に広がっている。「金正恩(キム・ジョンウン)亡命説」、「米国の対北朝鮮先制攻撃説」に続き「外国系企業撤収準備説」などが相次いだ。発端は私設情報紙と言うが、根拠のない風説だ。だが、米国のマスコミが朝鮮半島の緊張状況を連日報道し、レックス・ティラーソン米国務長官が「米中首脳間ですべてのオプションが議論された」と話したことがこうした状況を煽り立てた側面がある。
北朝鮮の例年行事が集中する4月には、これまでも朝鮮半島危機説が繰り返されたりした。最近では米国の航空母艦カール・ビンソン号が朝鮮半島を発って半月余りで韓国に異例の再出動をし、緊張指数を高めた。米中首脳会談で朝鮮半島問題解決のための顕著な成果が見られないばかりか、米国のシリア爆撃などが重なり不安感は一層高まった。そのうえ、米国のドナルド・トランプ政権と北朝鮮の金正恩政権は共に過去のどの政権よりも予測不可能性が高い。
ここには韓国政府がまともに声を上げられない状況も一役買っている。黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行は11日「外交・安保懸案に対して落ち着いて一貫性を持って対処することが重要だ」と述べた。あたかも他人事のような話だ。外交部は「(危機説の)根拠はない」として「米国の対北朝鮮先制攻撃説」などを否定した。だが、トランプ大統領など米国の高位政策当局者の朝鮮半島関連発言を見れば、彼らが韓国政府とどこまで緊密に協議して韓国の立場をどれほど考慮しているか、疑問に感じざるをえない。
韓国政府は国民に「心配するな」とばかり言うのではなく、「朝鮮半島で軍事的緊張を高める行為をしないこと」を米国と北朝鮮の双方に明確に要求しなければならない。私たちにとっては「危機説」が出回ること自体が望ましくない。朝鮮半島情勢に否定的イメージを重ねてかぶせるだけでなく、金融・経済などに直接的影響を及ぼすためだ。米国が韓国の真の同盟ならば、同盟国が困難に出会わないよう軍事的緊張を高める言動を自制するよう韓国政府が言うのが当然だ。
北朝鮮は金日成(キム・イルソン)主席が生まれた4月15日の太陽節を迎えてロケット発射を何度もしてきたし、今年もそうした動きを見せている。しかし、そのような行動は緊張を高め、事態を悪化させるだけだ。北朝鮮は軍事的挑発を通じて政権の安全を図るのではなく、対話の場に出てきて朝鮮半島の平和に乗り出さなければならない。