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[寄稿]金正恩の望みは何か

登録:2017-04-09 23:38 修正:2018-06-04 06:34
ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 政治家、ジャーナリスト、政策専門家たちは毎日のように不可能を試みている。それは「読心術」だ。特に彼らは金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が何を考えているのか、何を望んでいるのかを知りたい。

 他人の考えをはっきりと知ることは不可能だ。それでも現在、北朝鮮の指導者の望みを正しく把握することは、北朝鮮問題を解決するためのすべての政策選択の基礎になる。政策の選択肢は軍事力、非軍事力、外交の大きくわけて3つのカテゴリーに分類できる。

 まず、金正恩は基本的に合理的でないため彼と交渉をしようとする試みには効果がないという解釈がある。金正恩は軍事力のみを信じるということだ。残念ながらこうした解釈は人気があるが、これは判断の錯誤だ。

 第二に、北朝鮮との交渉に反対する一部の対北朝鮮強硬派の中にも、金正恩が合理的目標を持っているという点を認める人もいる。彼らは北朝鮮の指導者が自身と体制の政治的生存に関心があると考える。金正恩が貨幣(国際的に取引できる通貨)を蓄積し、体制の生存とイデオロギー的および国際的正統性を維持し、核兵器の使用を含むすべての費用を支払ってでも北朝鮮の主権を守ることを望んでいるということだ。

 こうした部類の強硬派は、北朝鮮に対する“鞭”を好む。経済制裁と在来式戦力を通した封鎖により、金正恩が合理的な計算をするよう仕向けなければならないと考える。北朝鮮が攻撃的核プログラムを維持するならば、自身の目標を達成することが一層難しくなるという評価をさせなければならないということだ。

 外交的関与が北朝鮮に対する最も効果的なアプローチだと信じる人々も、金正恩が何を望んでいるかを提示すべきだ。「金正恩も平和を望む」とか「外交は常に戦争や経済制裁より良い選択肢」という主張だけでは、各国政府が北朝鮮と交渉のテーブルに座るよう説得することはできない。

 効果的な外交的代案を探すための努力の一環で、なんとか金正恩の心を読んでみようとする。私も金正恩が政治的生存に焦点を合わせていると考える。彼は潜在的競争者を除去し、自らの地位を強化するのに執権から数年を費やした。彼の祖父である金日成(キム・イルソン)のように、金正恩も自身の安全は政権の安定とつながっていると考える。

 また、金正恩も自身の祖父や父親のように今後の北朝鮮存続の鍵が米国との交渉にかかっていると信じていると見られる。北朝鮮は歴史的に中国に過度に依存することを避けようとしてきた。また北朝鮮は韓国から時には経済的利益を得たいが、根本的には朝鮮半島の主導権をめぐる競争のために“グランドディール”をするとは思えない。それは米国の役割だ。

 結局、北朝鮮の世界観によれば、米国だけが北朝鮮に外交的認定を提供できる。米国だけが北朝鮮に対する軍事的封鎖を緩められる。米国だけが北朝鮮の経済的孤立を終わらせる決定ができる。

 また、北朝鮮とのどんな交渉も、北朝鮮が望むもの、すなわち経済再建と経済改革の進行に必要な資本、およびグローバル経済との合法的関係を結ぶことを提供するものでなければならない。もちろん、北朝鮮が核兵器放棄の見返りに資本だけを望んでいるわけではない。率直に言って、私も北朝鮮指導部が一枚の合意文を核兵器の代替物とは考えないと見る。

 北朝鮮にそうした保障を提供するためには、北朝鮮の核プログラムを段階的に廃止する漸進的期間が必要だという点を認めなければならない。北朝鮮が核プログラムを減らすことに合わせて、北朝鮮も交渉相手国が制裁解除や平和協定署名、北朝鮮の銀行に国際的基準に合致する訓練の提供など、合意事項を遵守するかを見守る機会を持たせることになるだろう。必要ならば、北朝鮮は日本の核能力のように緊急な場合には核兵器化できる核物質の一部を保有することもありうるだろう。こうしたことが冷静な交渉の基礎だ。

 私たちは時には正義より平和を選択しなければならないことがある。朝鮮半島における戦争の脅威は、北朝鮮と米国の2人の“嘆かわしい”指導者が対話を通じて互いに望むものをやりとりする方法を見つけるよう要求している。

ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/789964.html韓国語原文入力:2017-04-09 19:12
訳J.S(1845字)

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