南シナ海をめぐり、米国と中国がそれぞれ東アジアに空母配備、空軍軍事基地拡張、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験など、軍事的緊張を徐々に高めてきたが、最近両国で衝突を管理しようとする動きが少しずつ出ている。しかし、米国の権力機関内部の動き、尖閣諸島問題、米中貿易戦争など、さまざまな衝突要因があいまって、東アジアの軍事的緊張の局面は当分続くものと見られる。
中国の陸慷外交部報道官は6日の定例会見で、ジェームズ・マティス米国防長官が南シナ海で「今すぐ軍事行動は必要でない」と発言したことについて「肯定的」と歓迎した。陸慷報道官は「われわれも関連問題は関連当事国たちが外交ルートを通じて解決するべきであり、交渉と談判の方法で不一致を管理しなければならないと主張する」としてこのように述べた。陸慷報道官の発言はマティス米国防長官が4日、日本の稲田朋美防衛相との会談後の記者会見で「南シナ海の外交的解決」を強調したことに対する肯定的な応答の性格を帯びている。また、党機関紙である人民日報も同日付の社説の「鐘声」で、「協力は米中両国の唯一で正確な選択」と強調した。
マティス長官は先月12日、上院軍事委員会承認聴聞会でも、南シナ海などで航行の自由など米国の利益を守らなければならないと強調しながらも、「一つの中国」政策については「米国が長い間維持してきた政策」とし、ドナルド・トランプ政権発足後、米中間の衝突が必要以上に拡大されることについては一線を画した。ニューヨークタイムズは3日(現地時間)、マティス長官が対外政策決定の過程で「均衡軸の役割」を果たすだろうと予想した。
しかし、このような米国内の慎重派らの声が政策にそのままつながるかはまだ未知数だ。まず、トランプ政権に対中強硬派が布陣している。マイケル・フリン国家安保補佐官も対中強硬派として知られており、通商・貿易分野でもトランプ本人をはじめ中国との「貿易戦争」をもくろむ人物たちで構成されている。特に「王首席」とされるスティーブン・バノン・ホワイトハウス首席戦略官は昨年3月、自分が創立した極右メディアのブライトバート・ニュースのインタビューで、南シナ海で米中が「10年以内に戦争を起こすだろう」と話すなど、中国に対する敵対感を躊躇なく示した。彼が国家安保会議(NSC)常任委員として合流し、対外政策の不確実性はさらに高まった。
また、尖閣列島をめぐる日中間の衝突、朝鮮半島のTHAAD(高高度ミサイル防衛)配備と日米、韓米同盟があいまって、米中衝突の要素がまったく解消されていない。岸田文雄外相は7日、レックス・ティラーソン米国務長官と電話で話した後、「ティラーソン長官が日中間の領有権紛争地域である沖縄県の尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲という立場を明らかにした」と話した。日米安保条約5条は、日本の行政力が及ぶ領域に対する武力攻撃を受けた際、日本と米国は共通のリスクに対処するよう行動するという内容だ。これは南・東シナ海で軍事拠点化を図っている中国を狙ったものだ。また米国内で穏健派も中国を牽制するためにミサイル防御(MD)システムの強化など、韓米日安保協力という長期的布石を構築しなければならないと主張する。
これにより、最近米国を狙った多弾頭大陸間弾道ミサイル(ICBM)DF(東風)-5Cの発射実験などトランプ政権に武力示威を行ってきた中国も、駆け引き的要素の警告メッセージで引き続き対立するものと予想される。さらにトランプ大統領は先月20日就任後、いまだに中国の習近平主席と電話をしていないなど、意図的に中国を無視するような動きを見せている。