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[寄稿]トランプと“アジア回帰”

登録:2017-02-13 03:53 修正:2018-06-04 06:35
日本を訪問したジェームズ・マティス米国防長官(左)が3日、日本の総理官邸で安倍晋三首相(中)と稲田朋美防衛相(右)と会合している=東京/AFP聯合ニュース

 ジェームズ・マティス米国防長官が就任後初めての海外歴訪先として、アジアを選んだ。マティス国防長官の歴訪は、親睦というよりは被害収拾の性格だった。

 彼の上司であるドナルド・トランプ大統領は、緊張を高めると中国を脅かした。トランプ大統領は、日本が為替操作を行っていると非難したこともあった。トランプ氏は米国の同盟である韓国と日本がもっと多くの防衛費を分担すべきだと主張した。彼は、前任の(オバマ)政権が全力を傾けた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からあっけなく脱退した。

 “悪い警官”に侮辱された容疑者を懐柔する目的で登場する“いい警官”のように、マティスの長官は、歴訪の間、同盟を安心させるために様々な発言を行った。中には政権の立場と直接的に矛盾するものもあった。同盟国が多くの防衛費を分担していると、米軍は韓国と日本の後ろでどっしり構えていると、彼は語った。軍事力ではなく、外交が南シナ海のような紛争を解決する方法だとも述べた。

 問題は、どっちの警官が米国の対外政策の責任を担っているかではない。実際、悪い警官といい警官は共に米国の対外政策を担当している。したがって、トランプ政権が、究極的にアジアを望んでいるのかというのが、より根本的な問いになる。トランプ政権は今の現状維持状態を固守することも、オバマ政権が試みたが失敗したアジア戦略を終わらせることもできる。オバマ政権は中東中心の軍事・経済政策から抜け出し、アジアを重視すると宣言した。

 選挙期間中のレトリックからすると、トランプは“アジア・太平洋への回帰”に関心がなかった。彼の関心は“本土回帰”にあった。彼は“米国優先主義”を強調し、海外米軍を削減することもあり得ると示唆した。米国の社会間接資本と産業の復興に、(海外の米軍に費やされる)資源を投入するということだ。

 しかし、トランプ氏の立場はすでに就任前からそのような錯覚をなくす方向へと急速に移動した。長い伝統を破って、蔡英文・台湾総統との電話会談で中国との断固とした対決を示唆した。また、彼はこれから10年間、国防予算を約1兆ドル規模で大きく増やすための準備に入った。

 トランプ政権は、米国の覇権に対する唯一で深刻な脅威を中国とみなしている。米国の以前の政権らは、一定の時間が経てば、中国への接近法を「コンゲージメント(congagement)」でまとめた。軍事的には封じ込め(コンテインメント)ながらも、経済的には関与(インゲイジメント)するという意味だ。(ところが)トランプ政権はただ対決だけに興味があるように見える。

 近年の米国大統領たちのように、トランプ氏が無視するには中国があまりにも大きく、敵対視するには中国の力があまりにも強力という現実に目覚める可能性もある。ジョージ・ブッシュ大統領さえも“反テロリズム”のような分野では、中国との共通基盤を探し求めた。

 しかし、ホワイトハウス首席戦略家のスティーブン・バノン氏のようなトランプ政権の他の参謀たちは、中国を文明の敵とみなす。中国は公式的には無神論で、有色人種の国であり、中央集権的な経済統制と本物の資本主義の間に位置していると思われている。もちろん、バノン氏は権威主義的な政府と協力関係を結ぶことも厭わない。しかし、中国はバノン氏が世界的に建設しようとする「保守的であり、キリスト教的な白人連合」の外部に位置する。

ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長//ハンギョレ新聞社

 さらに大きくなった軍事力と共和党が統制する議会、行政部に集中したすべての権力を使おうとする意志を基に、トランプ氏は、イスラム国(IS)を攻撃しながらも“太平洋回帰”を完成し、メキシコの国境に沿って壁を建設すると共に、欧州の同盟国を敵対視するだろう。全ての領域におけるこのような試みは、米国経済を破たんさせ、グローバル経済に回復不可能な損傷を与えるかもしれない。

 トランプ氏は過去に自分の事業帝国を率いながら、意外にも6回も破産した。アジアはとても気まぐれな政治的同盟であり、あまりにも信頼できないビジネスマンと手を組むことについて、極めて慎重に考えなければならない。

ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/782311.html韓国語原文入力:2017-02-12 18:03
訳H.J(1880字)

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