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[社説]厳しい試験台に立った潘基文の「権力への挑戦」

登録:2017-01-12 23:37 修正:2017-01-13 06:51
潘基文前国連事務総長が12日、仁川国際空港の入国検査場を通じて入国している。歓迎の人出の後ろに潘前総長に反対するプラカードが見える=仁川空港/空港写真記者団//ハンギョレ新聞社

 潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が12日、帰国記者会見で明らかにしたいくつかのメッセージのうちから主要な単語を選ぶなら、国民大統合、国際的識見、弱者の人権の代弁、政治交代になる。国連事務総長を務めた経歴を強調しながら、自分が国家経営の適任者であることを押し出した一種の出師表であるということだ。このような言葉は潘前総長の強力な権力意志を示すには十分だが、彼が歩んできた人生や最近の行動に照らしてみると体に合わないちぐはぐな服のような感じを拭えない。

 潘総長が掲げた「大統合」の旗印からしてそうだ。統合は強者の横暴を阻止し、疎外・迫害を受ける弱者を包む努力から始まる。しかし潘前総長は、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の間、権力が行った衝突と分裂の助長に沈黙していた。特にセウォル号の惨事以降、権力の横暴で国がずたずたに引き裂かれた時に見せた態度を振り返ってみると、統合の主張の虚構性が露呈する。記者会見で語った「弱者の人権の代弁」という言葉が恥じ入るほど、政権の顔色うかがいで一貫していた彼が、統合と和解を主張する姿が侘しいばかりだったことの理由だ。

 彼が自慢する「国際的識見」も同様だ。潘前総長は自分が韓日慰安婦交渉を絶賛したことについて「交渉を通じた紛争の平和的解決について国連事務総長として歓迎した」と釈明した。しかし、その発言は弱者を最優先に置くべき国連事務総長としても不適切なものだった。さらに最近、慰安婦合意の履行問題をめぐり韓日両国の間で摩擦が起きていることからも確認されたように、合意が問題なく巡航すると判断したこと自体が大きな誤断だった。潘前総長が強みとして掲げる外交能力や国際問題に対する眼識自体を疑わせる部分だ。潘前総長が会見で明らかにした「未来志向的思考」式の韓日の摩擦解消「解決策」も、中身のない典型的な外交的修辞に聞こえる。

 潘前総長は、自分の「23万ドル受取り説」について「とうてい理解できない」と主張した。疑惑の真偽を問う現実的な方法は、このような内容を報じた報道社を名誉毀損の疑いで告訴し、これを機に検察が事実確認を行う方法しかないが、潘前総長はこの日も積極的な態度を見せなかった。

 潘前総長はこの日、空港から家に帰る方法をめぐり何度か変更を繰り返した末に、空港鉄道に乗ってソウル駅に向かった。国家指導者になろうとする人が市民にしばしば会いコミュニケーションを図ることは無論良いことだ。ただし、そのような行動が「見せるイベント」に止まってはならない。潘前総長には今後、国民との真のコミュニケーションを通じて「広場の民心」とは何なのか、自分が一生生きてきた人生がそのような価値に符合するのか、そしてそのような国民の願いを満たす資格と能力があるかどうかを、深く省察することを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/778546.html 韓国語原文入力:2017-01-12 21:23
 訳M.C(1211字)

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