本文に移動

[寄稿]今、国民参加で財閥改革を

登録:2016-12-27 22:17 修正:2016-12-28 12:38
今月3日午後1時からは光化門広場の李舜臣銅像の前で、退陣行動財閥拘束特別委員会が開いた「財閥が核心だ!財閥-全経連解体、財閥犯罪エキスポ」行事で、財閥総帥らに扮したパフォーマンスが繰り広げられた=パク・スジン記者//ハンギョレ新聞社

財閥がチョン・ユラと財団に与えた数百億ウォン(数十億円)は、国民の血と汗であり、涙でありため息の結晶だ。その金が、公正な方法で国民にまともに分配されたり、正当に税金として徴収されたとすれば、革新中小企業の成長と働き口創出、賃金引き上げと内需市場拡大などの手段で韓国経済に役だっただろう。

 ろうそく集会の市民は“改憲”という言葉を口にもしなかったのに、政界は改憲議論で騒々しい。ろうそく市民は来年の大統領選挙に誰を支持しようなどと言い出しもしなかったのに、マスコミでは連日大統領選候補の支持率を報道する。数百万名の市民が、改憲しようとか、よい大統領を選ぼうとか、9週連続で酷寒の路上で震えながら大声を上げたか? 改憲もたしかに必要で、誰が次期大統領になるかも本当に重要だが、経済システムの変化なしでの民主主義は空念仏だ。「規制は癌の塊り」として全経連の嘆願処理班の役割をしてきた朴槿恵(パク・クネ)政権の4年間、経済強者の特権と反則は想像を超越し、その頂点に朴槿恵-チェ・スンシルゲートがある。

 特に、大統領がサムスンのイ・ジェヨンなど財閥総師らと単独面談した事実、サムスンのチョン・ユラ支援、財閥のミル・Kスポーツ財団拠出事件に顕微鏡を突きつければ全てが見える。朴槿恵大統領がアン・ジョンボム前首席秘書官に「サムスンの合併を助けてやれ」と指示したという事実、その直後に数千億ウォンの国民の老後資金がサムスンの経営権継承のために支出された事実も含まれる。

 人々はこれを「政経癒着」と言う。しかし私の目には、朴正煕(パク・チョンヒ)2世とイ・ビョンチョル3世など、世襲権力者間の不当取り引きに見える。財閥の2世,3世である9人が、約30年ぶりに父親や祖父が座った聴聞会の席に再び座った現実は、なぜ韓国の民主主義がここまで壊れたのか、なぜ青年たちにとって韓国が“金の匙”の国、“ヘル朝鮮”になったのか雄弁に物語る。

 陰の権力の専横が今回の朴槿恵ゲートの核心ならば、世襲財閥の存在自体、そして大統領と財閥総師の単独面談、大統領府の電話一本で数十億、数百億ウォンの会社資金が取締役会の議論も経ずに支出されうるという事実、国民の老後資金があらゆる不法でサムスンの経営権継承のために支出されうるという事実にこそ、韓国がまだ市場経済、法の支配と公正競争の入り口にも立っていない、特権と弱肉強食と無法の天下であることを示している。

 財閥の下請け企業労働者、すべての非正規労働者、零細自営業者、そして中小企業が過去4年間、ほとんど毎日のように不当労働行為、労組破壊、外注ガードマンの暴力、納品単価不当切り下げなど、財閥企業の“横暴”に怒りをこらえ、政府、検察、言論、公正取引委員会、裁判所の決定に抗議さえできなかったり、抗議したとしても何の答えも得られなかった理由も、まさに世襲財閥の威勢のためだった。特に朴槿恵大統領は過去4年間、市民社会、労働界、中小企業代表者とはほとんど面会すらせずに、唯一財閥総師らとのみ単独面談したという統計はその現象に過ぎない。

 今、改憲論者は帝王的大統領制を変えようと主張する。一理ある。ところで大多数の国民、特にすべての賃金労働者と零細自営業者にとって、財閥大企業は帝王ではなく、ほとんど閻魔に近いという事実を知らなければならない。ろうそく市民は土曜に光化門(クァンファムン)で、“観念上”では主権者の喜びを享受するが、月曜から金曜までは経済戦場の“奴隷”として生きなければならない。韓国の国内総生産(GDP)の84%を占める10大財閥、世襲権力は、ほとんどすべての韓国人には“甲”(優位者)中の“甲”だ。聴聞会の席上で財閥総師を叱り飛ばす議員も、テレビカメラがなくなれば“乙”(劣位者)身分になり、サムスンを押収捜索する検事たちも明日の職場であるローファームに行くと考えれば、まもなく“乙”になる。

 財閥がチョン・ユラと財団に与えた数百億ウォン(数十億円)は、国民の血と汗であり、涙でありため息の結晶だ。その金が、公正な方法で国民にまともに分配されたり、正当に税金として徴収されたとすれば、革新中小企業の成長と働き口創出、賃金引き上げと内需市場拡大などの手段で韓国経済に役だっただろう。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院院長、新たな百年研究院長//ハンギョレ新聞社

 もちろん私は、今日の韓国経済と政治のすべての問題が財閥体制に起因するとは見ない。しかし、もしかしたら、今私たちにとっての財閥改革は、誰が大統領になるかよりも重要かもしれない。私たちは朴槿恵大統領が当選するやいなや“経済民主化”公約をゴミ屑のように投げ捨てるのをすでに見たではないか? 今度は民主党が国会に係留されている関連法案の通過などを通して財閥改革に乗り出すというので期待が大きい。改革保守を指向する非朴系も参加するだろうと期待する。

 ところで、政界を信じても大丈夫だろうか? 弾劾がろうそくの力によって可能だったように、財閥改革も利害当事者である国民皆の討論と参加を通じて進行されることを期待する。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院院長、新たな百年研究院長

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/776347.html 韓国語原文入力:2016-12-27 19:17
訳J.S(2213字)

関連記事