朴槿恵(パク・クネ)大統領が24日、国会の施政演説で任期内の改憲推進を公式化した。この前まで「改憲をしたら経済が元気になりでもするのか」と、改憲論に釘を刺していた態度と比べると驚くほどの変わり身である。朴大統領が突然考えを変えた背景が気になる。改憲論の正当性にもかかわらず、現政権の改憲推進の意に基づく政略が敷かれているのではと疑うほかはない。このような疑念を払わなけば大統領の改憲論は一歩も立ち行かない。
朴大統領は最大の理由として「大統領5年単任制の弊害」を挙げている。彼女は「私たちの政治は大統領選を行った翌日から極端な政争と対決の構図が日常になってしまった。…対立と分裂の現政治体制では明るい未来を期待し難い」と明らかにした。一理ある言葉だ。特に現政権に入って大統領制の弊害が行きつくところまで行き尽くしたという認識が広まったことと合致する。
そうなったのは朴大統領の責任が誰よりも重い。国会の「注意」をまったく無視し、ときには与野党合意まで破棄してしまった大統領の独断的な国政運営が、韓国社会の対立と分裂を深化させた最も大きな原因だ。批判世論をものともしない帝王のような態度が大統領制に対する極端な不信を育てたといっても過言ではない。ところで朴大統領は自分の誤りについてはただ一言の謝罪もすることなく、あたかもすべてが制度の問題のように糊塗して「改憲をしよう」と言うのだから、その動機の純粋さをどうして信じられようか。チェ氏疑惑を飲み込むブラックホールとして改憲を使おうとしているのではないかと疑うのもある意味当然のことだ。
来年の大統領選挙までわずか1年2か月しか残っていない時点で「改憲論」を提起したこともいぶかしい。2007年1月に廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「4年制への改憲」を提起するとすぐに「民生経済を含めて国政が総体的な危機に陥っている。大統領の目には選挙しか見えないのか。本当に悪い大統領だ」と猛非難した人がまさに朴大統領である。この言葉は現時点でも完全に当てはまる。セヌリ党に有力な候補がなく、来年12月の大統領選の勝利は容易ではないようで、親朴勢力を中心に権力構造の改編を通じて長期政権を試みているのではと、大勢が疑念を持たないわけがない。朴大統領は改憲推進をいう前に過去の発言について釈明して政略的な意図がないことをまず国民に理解してもらわなければならない。
1987年の大統領直選制にだけ焦点を合わせた現行憲法は、これまでの社会・経済の変化に広く対応できていないという指摘は正しい。そうした点から改憲を真剣に議論すべきだという政界や学界、一部市民社会の意見は妥当だ。ただし、いかなる場合でも改憲議論の主体は国民であるべきで、大統領や国会議員では問題がある。「大統領が改憲議論を主導すべき」というキム・ジェウォン大統領府政務首席の発言は妥当ではない。大統領府は改憲議論に最初から手をつけてはならない。
大統領府は改憲論から手を引くべき
韓国の政治史を振り返ると、権力が主導する改憲は常に長期政権の試みに終わっており、国民の理解と希望を取りまとめられなかった。もし今回改憲論議を始めるならば、国民多数が参加する形と構造を備えることが何より重要だ。国会もまたこの点を肝に銘じるべきである。
韓国語原文入力: 2016/10/24 17:34