慶尚北道星州(ソンジュ)に配備することにした高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)の最大の問題点の一つは、米国が主導するミサイル防衛(MD)システムとの関連性だ。中国とロシアの激しい反発もこれと関連している。にもかかわらず、政府は納得できない無理な主張だけを繰り返している。
正義党のキム・ジョンデ議員が19日に国会の緊急懸案質問を通じて提示した内容は具体的である。今年2月に発表された2017会計年度米国MD予算案における大統領の指針と2015年の米議会会計監査局のMD関連の報告書には、「2025年まで7つのTHAAD砲隊を含むすべてのMD資産と連動する作業を完了する予定」と明示されている。米国は北東アジアを含めたグローバルなMDを構築しており、すべてのTHAADはその一部ということだ。THAADを配備・運用する主体の発言であるだけに、疑問の余地がない事実だ。
これに対し、ハン・ミング国防部長官は「(星州の)THAADは韓国を保護するためのものであって、米国のグローバル防衛システムというのは言い過ぎだ」と主張した。国防部も「MD体制への編入(参加)はMD協力関連のMOU(了解覚書)の締結から、ミサイルの共同開発、生産、配備、運用及び演習、訓練など、すべての段階にわたる高いレベルの協力を意味する」と明らかにした。韓米両国が公に「MDへの協力」とは言っていないので、THAAD配備もMDとは無関係だという苦しまぎれの論理だ。米国のMD構築の意図がはっきりしており、実際にそう進んでいるにもかかわらず、手のひらで空を隠そうとするようなものだ。
MDと関するこのような相反する行動は、これが初めてではない。韓米は2014年4月の首脳会談で「MDシステムの相互運用性の改善」に合意した後、12月に「韓日米情報共有約定」を締結し、先月には3国の海軍がリアルタイムでミサイル情報を共有する訓練を行った。これについて米国と日本は「韓米日MD協力の進展」と高く評価したが、韓国政府は「情報共有にすぎない」と言葉を濁した。しかし、情報共有こそMD参加の最も重要な部分であり、星州に配備されるTHAADも米国が統合的に運用できる米国の武器だ。
星州のTHAADは、このほかにも疑わしい軍事的な実効性や北朝鮮の核問題の解決に向けた努力の弱体化、北東アジア新冷戦構造の助長、深刻な国論の分裂、配備地域の安全・環境破壊の懸念など、多くの問題点を抱えている。これらの問題以前にMD体制との密接な関連性だけでも、THAAD配備の決定は撤回されなければならない。
韓国語原文入力:016-07-20 17:36