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[寄稿]停滞する韓国経済に必要な合意の政治

登録:2016-05-01 21:53 修正:2016-05-02 07:07

 韓国経済が沈没している。造船産業の中心地である蔚山(ウルサン)や巨済(コジェ)は、すでに「涙の谷」になった。レストランが閉店し、構造調整の風が吹き荒れる。どんなに長く暗い谷底をさ迷わねばならないのか、見当もつかない。私たち(韓国)を待っている危機は、産業の衰退だけではない。近いうち、私たちは「人口の崖」に直面する。 2017年から生産可能人口が減り始める。不平等と二極化の構造をかかえたまま、低成長の沼に陥った。

 解決策を見つけるためには、危機のレベルを認識しなければならない。誰もが危機だと言うが、出した処方箋を見る限り、危機の実状が分かっていないようだ。お金をばら撒くべきだというとんでもない処方や、財閥体制をそのままにして置くべきという時代遅れの考えは、ドングリの背比べだ。たぶん、危機そのものよりも、危機克服のリーダーシップの不在が、私たちが直面した最も深刻な危機だ。この重要な時期に、よりによって、大統領府と野党の指導者が驚くほどの“不通”な人物だ。国民は変化を望んでいるのに、いつまで不通による大連立を見せられなければならないのか?今は、このようにのんびり過ごせるような時期ではない。

 経済危機の出口は政治だ。政労使の大妥協を成功させるためには、合意の政治が必要である。 1977年のスペインの「モンクロア協定」を通じて、労組は賃上げ要求を自制し、政府は社会保障制度を制度化し、企業は租税体系の改革を受け入れた。国王から共産党まで、すべて(の政治勢力が)合意に参加した。排除せず包容し、対立せず妥協しており、固執せず譲歩した。独裁者フランコの死後、政治経済の危機の深刻さに誰もが共感したからこそ可能だった結果だ。

 対策のレベルは、危機の程度を反映する。薬だけで完治する軽い病気もあるが、手術をしなければ助からない中病もある。韓国経済は構造的危機に直面した。古びた革新体制を果敢に改革しなければならない時が来た。(方法が)分らなくて、やらなかったわけでもない。経済民主化に関する議論が少なくない。危機を克服しようとする真の意志を持った政治家が登場すれば、改革案をまとめるのはそう難しいことではない。

 「危機克服のための大妥協」は、様々な分野で同時に行われる必要がある。南北関係を研究する立場から二つだけ指摘したい。第一は、分断問題に関する合意だ。李明博(イミョンバク)・朴槿恵(パククネ)政権は分断を分裂の道具とした。最近の大韓民国父母連合(父母連合)をめぐる波紋は、分裂の政治が生んだ悲劇的な結末だ。危機を克服するためには、南北関係の安定的管理が必要であり、国内と国外で癒しの政治が必要である。まず、対北朝鮮政策に対する社会的合意を進めるべきだ。抽象的な理念の妥協や正体不明の中途を主張しているわけではない。この時代、私たちに必要な南北関係の方向が何なのかを実用的に問いかけて見れば、国民多数の合意を得るのがそれほど難しくないだろう。

キム・ヨンチョル仁済大学統一学部教授//ハンギョレ新聞社

 第二は、北方経済だ。内部の構造的な問題には目を瞑り、外部からの新たな成長の動力を探そうということではない。当然のことながら、新たな革新的体制を作ることが重要である。労働者だけに骨身を削るような苦痛を強いるのではなく、企業や政府、政界が共に痛みを分かち合うべきだ。ただし、巨大な転換は時間が要する。北方経済で産業構造を切り替える時間を稼ぎ、少しでもその費用を用意してみようということだ。北方の経済のほかに、どこで海外需要を増やせるというのか。

 不通の行きつく先は無能であり、無能な者は憎悪を動員する。与党の過半数割れが実現してから、新しい政治への期待感が高まっている。野党が一日も早く民主政党の姿に立ち戻り、対外環境の悪化と対内的な分裂の悪循環を断ち切らなければならない。無能な政府は、分裂を助長するが、有能な政治は合意を追求する。恐怖ではなく、勇気が必要である。涙の谷の入り口で、合意の政治を待ちわびる。

キム・ヨンチョル仁済大学統一学部教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-05-01 19:16

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/742017.html 訳H.J

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