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[社説]少女像めぐる見解の差が示す慰安婦合意の破綻

登録:2016-04-28 21:36 修正:2016-04-29 06:21
尹炳世外交部長官(右)と岸田文雄外相が昨年12月28日午後、ソウルの外交部庁舎で従軍慰安婦問題と関連した共同記者会見を終え握手をしている=キムボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「12・28慰安婦合意」の限界が如実にあらわれている。歴史の正義に反する野合という基本性格がますます明らかになっていることはもちろん、韓国と日本政府が合意内容を履行できるかどうかさえ疑問だ。再交渉をしなければ、さらに矛盾が大きくならざるを得ない状況だ。

 萩生田光一・官房副長官が27日、「(慰安婦少女像撤去の問題も)合意の細かいものの一つとして含まれていると認識している」と述べたのは、合意の履行が事実上不可能であることを示している。これは、朴槿恵(パククネ)大統領が前日、報道機関の編集・報道局長懇談会で行った「(合意の履行が)少女像の撤去と連携しているというのは、事実ではなく扇動」という発言と真正面から対立する。この程度なら解釈の違いではなく、合意を無効にするも同然だ。

 このようなことが起きているのは、根本的に合意が間違っていたからだ。 12・28合意は、日本の首相の曖昧な謝罪と共に、日本側が10億円を拠出して財団を設立することを重要な内容とする。日本の歴史犯罪に対する法的責任をあいまいにしたものだ。慰安婦問題の解決に不可欠な真相究明、公式的で明確な謝罪、被害者への賠償、教科書への記述と社会教育などは、言及すらされなかった。むしろ合意以降、日本の教科書における慰安婦関連記述はさらに後退しており、慰安婦の強制連行に日本政府は責任がないという日本の高官の発言が相次いだ。被害ハルモニ(お婆さん)が12・28合意を拒否し、少女像を守らなければならないという国内外の世論が高まったのは当たり前のことだ。にもかかわらず、政府は合意を誠実に履行すると繰り返してきただけだ。

 「12・28合意を容認できない」との立場を明らかにした野党が4・13総選挙で大勝を収めたのは、国民の意がどこにあるかをよく示している。総選挙で与党が勝利していたら、政府が少女像の強制撤去に出ただろうという分析もある。朴大統領が「少女像撤去合意説は扇動」と強調したのも、強制撤去が不可能になったことを認めているからであろう。政府はこれから、日本側の法的責任を明確にする内容の再交渉を求める国民の意思を快く受け入れなければならない。

 日本政府が少女像の撤去にこだわる主な理由は、慰安婦問題が再び取り上げられるのを防ぐことにある。しかし、日本が自国の責任を国際社会の前で明確に認めない限り、慰安婦問題は終わらない。総選挙で民心の所在が確認された今が、再交渉の適切な時期だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-28 20:05

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/741764.html 訳H.J

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