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[社説]民心が朴槿恵大統領を審判 野党が第1党に

登録:2016-04-14 07:27 修正:2016-04-14 15:54
第20代総選挙結果(300議席)//ハンギョレ新聞社

 第20代総選挙で現れた民心は、まさに現政権に対する厳しい審判である。セヌリ党は過半数の議席確保に失敗して122議席に止まり、123議席を確保した「共に民主党」に第1党の立場を譲る大惨敗を記録した。第16代総選から16年ぶりに「与小野大」の構図が再現された。セヌリ党は、民心の基準となるソウルと首都圏でほとんど焦土化されただけでなく、伝統的な票田の大邱(テグ)、慶尚北道、釜山(プサン)、慶尚南道でも野党と無所属に多数の議席を明け渡した。

 14日午前6時現在で開票が事実上終了した結果、共に民主党は全253地方区のうち110カ所で勝利した。反面、セヌリ党は105地方区で当選者を出すのに止まった。「国民の党」は25地方区で首位を確定し、正義党は2地方区で勝利した。比例代表議席数を分ける政党別得票では、セヌリ党17議席、共に民主党13議席、国民の党13議席、正義党4議席を得ると集計された。セヌリ党の惨敗は野党分裂という絶対的に有利な環境で起きたという点でより深刻である。野党の候補乱立で漁夫の利を得るという観測が流れ、セヌリ党は一時、独自の改憲可能性確保まで狙った。しかし、ふたを開けると結果は大違いだった。セヌリ党は単に全議席数だけではなく、質的な内容でも完敗したといえる。

 こうした総選挙結果は、朴槿恵(パククネ)大統領に対する有権者の厳重な審判でもある。もちろん、セヌリ党候補公認の過程で起きた様々な雑音に失望し、本来の支持者が背を向けたためでもある。だがセヌリ党の「ドタバタ公認」自体が朴大統領の作品だったことを考えると、セヌリ党の惨敗は、まさに朴大統領に対する炎症症状と失望感の表出であることは明らかだ。朴大統領は選挙期間中、創造経済革新センター訪問を口実に超接戦地域を訪ね回る露骨な選挙運動をしており、選挙前日の閣議では野党の審判論を声高に叫んだが、有権者は逆に朴大統領を審判することで応酬した。これまで「選挙の女王」と呼ばれ、選挙の度に勝つ勢いだった朴大統領は、民心の激しい直撃を受けた。

■「選挙の女王」に対する民心の直撃弾

 有権者が朴大統領に送るメッセージは明確だ。これまでのやり方で国をリードしてはならないということだ。就任後、朴大統領には傲慢と「不通」のリーダーシップという批判が絶えなかったが、まるで馬の耳に念仏だった。結局、有権者は「言っても通じない」朴大統領に、票を通じて明確な意思を伝えたのである。

 今回の総選挙で朴大統領は国政掌握力を急速に失い、残る任期中、国政運営で大きな困難に直面せざるを得なくなった。この状況で朴大統領が進むべき方向は一つしかない。謙虚に国民の声を傾聴し、今までの国政運営方法を完全に改めることだ。民主主義と人権の後退をはじめ、経済、外交・安保、南北関係など、至る所で時代の車輪を逆戻ししてきた行動を止め、国政運営の軌道を正しい方向に修正すべきだ。それが残りの任期を無事終える道でもある。いまだに誤った自信と判断錯誤に陥り、傲慢や意地を通せば、さらに抜け出すことができなくなる深い泥沼にはまることを悟ってもらいたい。

 一方で野党に対する有権者のメッセージは非常に微妙かつ複雑だ。まず、共に民主党は全羅道では「国民の党」に完敗を喫したが、首都圏をはじめほとんどの地域で予想外に善戦した。共に民主党のこの勝利は、自らの力で収めたというより、現政権に対する激しい民心離れの反射利益を得たという表現が、より正確だろう。史上最悪の野党分裂事態の中でも、有権者が共に民主党に票を投じたのは、現政権に反発する雰囲気が強かったために他ならない。この点で、共に民主党は勘違いすべきでない。特に湖南(全羅北道と全羅南道)で確認された共に民主党に対する“民心離れ”の意味を正確に振り返るべきだ。

■「交差投票」で野党も牽制された

 今回の総選挙の結果を見ると、有権者が首都圏などで地方区候補を共に民主党候補に投票しておきながら、政党投票では国民の党に投票する「交差投票」をした痕跡がはっきりしている。これは、野党支持の傾向がある有権者が、「当選可能性」を考慮して共に民主党候補に戦略的な投票をする一方で、共に民主党に満足してはいないという意思表示を明確にしたものだ。その結果、政党投票では共に民主党が国民の党に遅れを取る現象が現れた。共に民主党はこの事態を非常に真剣に受け止めなくてはならない。

 国民の党も確固たる第3党の構図を作り“大躍進”したと歓喜するかもしれないが、実際の総選挙結果を見ると、必ずしも余裕はない。国民の党は全羅道以外の地域では、安哲秀(アンチョルス)代表など、ごく一部しか当選者を出せなかった。国民の党は地方区だけで見れば全羅道党に過ぎず、全国政党とは距離が遠い。

 全羅道での勝利も、現地の有権者の「反文在寅(ムンジェイン)感情」に頼り成し得た勝利に過ぎない安代表が打ち出した「新政治」などが力を発揮した結果ではなかったことは明らかだ。

 この点から、今回の総選挙で現われた民心は実に奥深い。現政権にはっきり反発しながらも、野党にも絶対的な支持をしないバランス感のある票心を示していたと分析できる。政界は、こうした民心を的確に読み取らなければならない。特に野党は、総選挙で現れた民心を我田引水の解釈をする愚を犯してはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-14 00:50

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/739635.html 訳Y.B

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