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[コラム]今も親日附逆派の国、韓国

登録:2016-02-19 23:30 修正:2016-02-20 09:06
満州軍将校時代の朴正煕元大統領(左)と長女の朴槿恵大統領。彼らにとり親日人名辞典は「歴史の控訴状」だ。右は親日人名辞典=イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

2016年 大韓民国ソウル

 ソウル市教育庁が「親日人名辞典」を中学と高校の図書館に配布しようとすると、韓国教育部が手続きの違反とか自律権の侵害を理由に妨害している。

2015年フランス パリ

 ナチスドイツへの附逆行為(反民族的行為)を意味する「協力」(コラボラシオン)を主題に、国立記録保管所で展示会が開かれた。主催者はフランス国防省だった。

 克明な対照だ。 フランスは解放70年が過ぎても政府が先頭に立ち「売国奴を忘れまい」としているが、韓国はそのような努力を政府が総力をあげてやめさせようとしている。

 時には親日人名辞典が偏向的なのでそうするのだという主張もある。 張志淵(チャンジヨン)を見てみよう。 1905年に皇城新聞に「是日也放声大哭」を書いたその張志淵を親日附逆派と言えるかどうかだ。 だが、張志淵は1914年、朝鮮総督府の機関紙「毎日新報」に客員記者となり、4年余りにかけて日本帝国主義を称賛する多くの文と漢詩を書いた。 ある時期に誠実に生きた人なら、その後に過ちを犯しても罪を問われないというのか(親日人名辞典は該当人物の志士的活動と親日的活動の両面を公正に紹介している)。

 フランス国立レジスタンス博物館を訪ねると、銃器や爆弾のような武装抵抗の象徴物より先に、古い1台の印刷機が観覧客を出迎える。 ナチ統治下で地下新聞を刷った印刷機だ。 抵抗の“精神”こそが最も重要な武器だったという意味だ。 知識人、言論人の附逆行為はその精神を蝕むものであるため、一層厳格に扱われなければならないというのがフランスにおける過去清算の原則だった。 「協力」言論は廃刊させ所有主を処罰した。 ナチ占領初期には抵抗したが、圧迫に勝てずに「協力」に寝返ったジャーナリストも懲役20年に処された。

 しかし韓国の場合、日帝に協力した朝鮮日報社長の方應謨(パンウンモ)や東亜日報社長の金性洙(キムソンス)は何の断罪も受けなかった。 2009年に親日反民族行為真相究明委員会が彼らを親日行為者と決めると、子孫たちは訴訟を起こして反発した。 1・2審で相次いで敗れても謝罪の一言もない。 現職大統領も与党代表も、父親の親日附逆の前歴を恥ずかしいとも思わないので、これ以上何をか言わんや。

 フランスでは解放直後の特別裁判所で有罪が宣告されたナチ協力者だけで9万8千人余りになる。 9千人程度は裁判なしで略式処刑された(『未完のフランス過去事』)。 韓国では今までにようやく4389人の親日の行跡を記録した辞典を出しただけだ。 フランスのように苛酷に断罪しようということでもなく、ただ記録を広く残して後世の教訓としようというだけだ。 それすら韓国政府が妨害している。

パク・ヨンヒョン論説委員 //ハンギョレ新聞社

 国のありさまがこんなものだから「慰安婦」問題について「不可逆的解決」のような屈辱的合意が出てくる。 合意に至った韓日首脳の電話通話内容を日本は公開して、韓国は公開できないという笑うに笑えない状況まで起きている。 国家安保が不安な近頃、フランスの「協力」展示会が他でもない国防省が開催した意味を肝に銘ずるべきだ。 国を失った恥辱と敵国に協力した者の罪状もはっきり言えないのに、いくら国を守ると言っても、国民がどこまで信頼できるだろうか。

蛇足

 韓国政府は親日人名辞典の普及が学校の自律性を害すると主張する。歴史教科書を国定化して学校の教科書選択権を完全になくそうとしている政府がそんな話をするとは、もはや精神分裂的だ。親日人名辞典は必須教材でもない。 親日附逆について知りたいと思った生徒が学校の図書館で探せる資料の一つくらいは備えておこうということだ。 それさえだめだと言うならば、ここは大韓民国なのか、植民地朝鮮なのか。

パク・ヨンヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/731057.html 韓国語原文入力:2016-02-18 19:55
訳J.S(1729字)

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