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[コラム]新冷戦に揺れる3年間の韓中関係

登録:2016-02-05 01:03 修正:2016-02-05 06:12

「どのくらい駐在しますか?」 
「3年位です」 
「ではただ健やかに過ごされればいいですね」

 3年前、北京に到着したばかりの時期、周囲の人々からしばしば聞いた“忠告”だ。巨大な中国を理解して、中国人とまともに“関係”を結ぶには3年という時間はあまりに短いという意味だった。 中国の閉鎖性を思い起こすと同時に、中国人の信頼を得ることはそれほど難しいという経験談でもあった。

 北朝鮮の4回目の核実験とロケット発射予告の後、韓国と中国を見てふと3年前を思い出した。 「韓中関係が良くなった」という言葉が聞かれたのはわずか3年間だ。 李明博(イミョンバク)政権の時にも両国関係は氷の様だった。 朴槿恵(パククネ)政権になってから両国関係は温まってきた。 2013年1月、一番最初に中国に特使団を送った。5カ月後には信頼を積む旅という意味の「心信之旅」という名前を付けて訪中した。 翌年には習近平・中国国家主席が北朝鮮より先に韓国を訪問し、昨年の中国閲兵式では朴大統領が天安門の望楼に上がり「歴代最高」、「史上最高」という修飾語が両国関係の前に付き始めた。そんな風にして流れた時間はせいぜい3年だ。

 そして先月6日に行われた北朝鮮の4回目の核実験と2日のロケット発射予告、「歴代最高」と言われた韓中関係は真っ逆さまに墜落する。 中国は対北朝鮮制裁をためらっている。 韓国では「米国の反対にも関わらず天安門の望楼にまで上がったものの、せいぜいこの程度しかしてくれないのか」という背信感が首をもたげている。 人々は「背信」こそが大統領の「逆鱗」に触れるタブーであることを知っている。 ついでに大統領は、中国が最も嫌うTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題も言及した。THAAD論議が始まってから1年半の間、韓国政府は「米国からの要請も、相互協議も、韓国の決定もない」といういわゆる3NO原則で、太平洋を越えて米国から出て来る説を否定するのに忙しかったが、今では自ら矛盾を露呈するほど中国に向けた不快感が強まった。

 中国もカッと怒った。ただでさえ「お前達の北朝鮮へのアプローチは間違っている」という米国の北朝鮮核責任論に腹を立てていたところだ。 中国の官営メディアは「THAADを配備すれば代償を準備しなければならない」と脅した。 「最善を尽くしていない」という韓国と「なぜ米国の話だけを聞いて我々の過ちだとばかり言うのか」という中国は、互いに侘しい関係だ。

 明らかに中国は北朝鮮を動かせるテコを持っている。しかし、そのテコは十分には長くない。 「中国がその気になれば北朝鮮くらいは…」というのが韓国の為政者の考えだ。 牡丹峰(モランボン)楽団の撤収、通知なき4回目の核実験、中国の6カ国協議首席代表の武大偉氏の訪問当日にロケット発射を予告したことなどは、北朝鮮と中国の関係の現実と限界を見せつける。

 米中の責任の押しつけ合いと「北朝鮮が平手打ちしたのはお前たちの頬だ」という“平手打ち論争”の中で、北朝鮮はロケット発射を選択した。「韓米日」対「北中」という強固な冷戦構図が再び登場する。冷戦構図で最も苦労する国は韓国だ。

ソン・ヨンチョル北京特派員 //ハンギョレ新聞社

 もう「3年元手論」をたたんで現実を見る時だ。 中国を圧迫するより米国のアジア回帰に対する中国の不安を減らす接近が必要だ。 北朝鮮と中国の関係は、米中関係と反比例する。 韓国と日本を同盟として率いる米国との軋轢が深まれば、中国は孤立を避けるために北朝鮮を引き寄せる。 しかも今、中国国内では北朝鮮放棄論まで登場した3回目の核実験の時とは異なり、現実論が静かに広がっている。 どのみち北朝鮮の核開発を阻止できないならば、少なくとも北朝鮮を敵対国に回さず次善を選ぼうという論理だ。

 中国の気流変化を見もせずに取った硬直した中国圧迫は、時代の変化に気がつかない“刻舟求剣”に陥る公算が高い。

ソン・ヨンチョル北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/729424.html 韓国語原文入力:2016-02-04 20:09
訳J.S(1770字)

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