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[社説]「歴史の正義」に反する慰安婦屈辱外交

登録:2015-12-30 08:01 修正:2015-12-30 09:34
ユン・ビョンセ外交部長官(右)と岸田文雄・日本外相が28日午後、ソウル世宗路の外交部庁舎で各自が発言する形式で日本政府の責任認定など慰安婦被害者問題の解決方案と関連した共同記者会見を行っている =キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 被害者と歴史の正義を守ろうとした人たちは憤り、問題を覆い隠そうとした者たちが笑っている。韓日両政府による28日の日本軍慰安婦問題“最終解決”宣言後に見られる姿だ。1965年の韓日協定に比肩される屈辱外交となったが、政府はそれが恥であることすら分かっていない。

 日本政府の法的責任認定は、慰安婦問題が提起された時から核心とされる解決策だった。政府はこれを使い古した履物のように捨ててしまった。政府は安倍晋三首相が初めて責任を認めたと自賛するが、日本側はすぐに法的責任はないことを再確認した。単純な責任と法的責任とでは天と地ほどの差がある。法的責任を負うということは、過去の戦争犯罪を認め、必要な後続措置を取ることに他ならない。そこには徹底した真相究明と責任者に対する審判、事実に基づく明確な謝罪、被害者に対する賠償、関連資料公開、教科書記述や追悼事業をはじめとする再発防止策などが含まれる。だが、今回の合意には、そうしたことに関連する内容は何もない。日本は韓国政府が作る慰安婦関連財団に10億円(97億ウォン)の資金を提供すればすむ。それも賠償金でなく支援金としてだ。政府が日本の金で免罪符を売ったようなものだ。

 慰安婦問題の「最終的・不可逆的解決」宣言は、自ら進んで口を塞ぐ格好となり、さらに呆れてしまう。重要な歴史的犯罪に終止符などありえない。ドイツはホロコースト問題に対する国際協約に署名し、それを履行してからかなりの時間が経つが、今も時あるごとに謝罪し、必要であれば新たな措置も取る。そこでは「被害者が満足する時まで頭を下げる」のが原則だ。慰安婦問題の最終解決宣言は、韓日協定で植民地支配の関連請求権問題が「完全かつ最終的に解決」されたコピー版といえる。同協定は徴用被害者賠償などの問題で常に足枷になっている。すでに日本では「韓国側が今後、話を変えてこないか見守る」とまで語られだしている。加害者の声を逆に高めさせたのが今回の合意だ。

 政府がソウルの日本大使館前にある慰安婦少女像の移転のため努力するとしたのは、日本の立場になり、掌で空を隠そうとするようなものだ。それは市民権を侵害する越権でもある。慰安婦少女像はすでに世界各地に数十個建立され、辛い歴史を省察する世界の良心の象徴になった。政府の約束は、こうした流れに正面から逆らう反歴史的性格すら持つ。

 合意発表後、米日の政府関係者は、韓米日の安保協力強化を露骨に注文しだしている。米国は中国を狙ったアジア再均衡政策が一層力を増すことへの期待を隠さない。だからこそ今回の合意の背景に米国の影響が大きく作用したとする見方は多い。韓国は昨年、世界で最も多く兵器を輸入し、そのほとんどが米国製だった。韓国は米日が主導する安保協力構図に引きずられ、慰安婦問題など重要な歴史的事案で名分を失い、財政的・政治的負担も大きくなっている。

 政府は最も保守的な安倍晋三政権を相手に、現実的な解決法を引き出したと強弁する。そうした面がないわけではないが、功より過のほうがはるかに大きい。政府は今回の合意を無効にし、再協議に臨むしかない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-12-29 18:45

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/723948.html 訳Y.B

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