本文に移動

慰安婦問題で戦略不在の朴槿恵政権 「国民が納得できるレベルの合意」守らず

登録:2015-12-30 00:09 修正:2015-12-30 06:15
手順も名分も「総体的不良」  
朴正煕元大統領と朴槿恵大統領//ハンギョレ新聞社

「超強硬」公言してきたのに妥協に急旋回 
「年内妥結」にこだわり主導権失う 
「朴大統領、安倍首相の返し技に遭った」

安倍首相、岸田外相の訪韓を推し進めたのに 
政府、会談の事実さえ遅れて公表 
日本のメディアの報道には「憶測」と言い逃れ続ける 
被害者の立場を排除し成果の広報に奔走

 「朴槿恵(パク・クネ)大統領が日本軍『慰安婦』被害者の問題と関連し、年内妥結を圧迫して、安倍晋三首相の返し技に遭った。朴大統領がなぜこんなに急いだのか、理解できない」。朴槿恵政権と安倍晋三政権が28日に行った日本軍慰安婦問題に関する合意について、元政府高官が29日、ハンギョレに話した総評だ。

 今回の交渉は内容にも問題があるが、手順と形式においても数多くの問題点を露呈させた。両極端に揺り動いた政策基調の急旋回と、交渉戦略の不在に伴う主導権の喪失、当事者間の疎通の不在など、まさに八方破れだ。今回の合意は、朴大統領と安倍首相が11月2日の首脳会談で「年内」を期限に提示し、「可能な限り早期に慰安婦被害者の問題を妥結するための協議を加速させるように指示 」したことで、弾みがついた。朴大統領の慰安婦問題に対する認識は、「加害者と被害者という歴史的な立場は千年の歴史が流れても、変わることはないだろう」(2013年3・1節記念祝辞)という超強硬基調から、今年6月以降、急に妥協に向けて急旋回した。突然の“針路変更”でよろめいたのか、朴大統領は、それ以降の交渉の主導権を安倍首相に奪われた。今月15日、東京で開かれた第11回慰安婦被害者問題関連の韓日局長級協議後、政府当局者が「(次の協議を)年内に開くのは困難だと思う」と述べていたのに、24日、安倍首相が岸田文雄外相に、年内の訪韓と協議を指示したことをきっかけに、雰囲気が急転したのが代表的な例だ。

 24日以降は、日本側が雰囲気を完全に主導した。 25日午前、岸田外相と菅義偉・官房長官が記者会見を通じて外相会談を既成事実化したにもかかわらず、沈黙を守っていた朴槿恵政権は、25日午後4時になってようやく会談の開催事実を公表した。その後相次いで出てきた日本のマスコミの関連報道に対しても「とんでもない報道」、「推測・憶測報道」、「日本の右翼が望んでいることをそのまま書いている韓国のマスコミが問題」というなどの反応を貫いた。ところが、「新基金の創設検討、少女像、韓国政府が移転を検討」(読売新聞26日付)、「韓国政府が再び慰安婦問題を取り上げないという確約を要求」(共同通信27、28日付)などの報道は28日の会談の結果にほぼそのまま反映された。

 朴槿恵政権は「マスコミの協調」を遅れて要請したが、それも不利な内容は明かさず、“成果”とされる内容だけを一方的に説明する形だった。 28日昼、外交関係者たちはマスコミの政治部長団などに対する非公開の説明会で、今回の合意が進展した成果であることを再三強調した。「日本の法的責任を明らかにできなかった状況で『最終的かつ不可逆的な解決』に合意したのは、バランスが取れない、行き過ぎたもの」という指摘には耳を貸さなかった。

 何よりも深刻な問題は、「被害者と国民が納得できるレベルの合意」という朴大統領の度重なる約束を、政府自ら捨てたという事実だ。朴槿恵政権は29日、ようやく韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)事務所と慰安婦被害者ハルモニ(お婆さん)が共同生活している京畿道の「ナヌム(分かち合い)の家」に、外交部1・2次官を派遣して関連経過を説明した。さらに政府高官は28日、非公開の説明会で「マスコミも果たしてどちらが韓国のために、また慰安婦ハルモニのために最善であるのかよく考えてほしい」と述べた。被害者ハルモニたちと関連団体の反発を“無視”してほしいという要求に他ならない言葉だ。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-29 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/723981.html 訳H.J

関連記事