セウォル号の惨事当日の朴槿恵(パク・クネ)大統領の“謎の7時間”の行方に関する疑惑をコラムで扱い、「情報通信網の利用促進および情報保護などに関する法」で検察に名誉毀損疑惑で起訴された日本の産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長が無罪判決を受けた。ソウル中央地裁刑事30部(裁判長イ・ドングン)は17日、1年余りの審理の末に加藤前支局長に「記事の内容は名誉毀損に該当するが大統領に対する個人誹謗目的はない」として無罪を宣告した。裁判所はまた、産経の該当記事は「言論の自由の保護領域に該当する」と明らかにした。裁判所が検察の“大統領の顔色うかがい”に伴う無理な起訴に鉄槌を加えたわけだ。
今回の無罪判決により、まず検察は責任を避けることができなくなった。検察の無理な起訴が国内外に言論の自由の弾圧という激しい批判を招き、韓日関係にも悪影響を及ぼした点を考えると、いたずらに問題を起こした検察に重い責任を問うのが当然だ。名誉毀損罪は当事者が処罰を望まなければ起訴できない「反意思不罰罪」であることを考慮すると、意思に反すると表明してこなかった朴大統領にも相当の責任がある。
裁判所の無罪の判断は法理や判例、国際的流れに照らしても適切だ。国連をはじめとする多くの国際機構が名誉毀損の刑事罰制度の廃止を勧告しており、大法院(最高裁)も国家機関と公職者の業務に関連した疑惑の提起は名誉毀損に該当しないと判断してきた。政府は今回を機会に最初から国際的な基準に合うように名誉毀損の刑事罰制度の廃止を積極的に検討することを望みたい。
今回の判決で韓日関係の大きな悪材料が取り除かれたことは幸いだ。外交部が法務部を通じて「韓日関係のために善処を望む」という異例の公文書を裁判所に提出した点だけを見ても、今回の事件がいかに韓日関係の発展にナイーブな問題なのか察するに値する。実際、日本政府はこの問題を民主主義の価値がかかった問題として首脳会談をはじめとする外交ルートを通じて問題提起し続けてきた。
もちろん今回の報道が無罪になったといって、産経の記事の正当性が確認さけたのではない。産経の該当記事は事実判断の誤りと恣意的な判断が混ざった“不良品”であることは明らかだ。今回の事件は、言論の自由は幅広く容認しなければならないがマスコミ関係者も責任ある報道に努めねばならぬという重い教訓を投げかけている。
韓国語原文入力:2015/12/17 21:49