登録 : 2015.12.09 02:05 修正 : 2015.12.09 06:51

米週刊誌『ザ・ネーション』に報道された記事=ザ・ネーション画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社
 米国の週刊誌『ザ・ネーション』が朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判する記事(「独裁者の娘が労働者を弾圧する」)を掲載したことについて、ニューヨークの韓国総領事館が抗議を行ったというニュースを聞いて、同じような状況を自分が経験したことを思い出した。

 週刊誌『ハンギョレ21』の編集長を務めていた2008年、タイ王室に関する記事を載せた。いくつかの内容を紹介したい。タイは立憲君主制というが、王室の実権が非常に大きい。王の妹である姫が死亡すると、半月間にわたる国葬と100日間の哀悼期間が続き、10カ月後に900万ドルの予算をかけ葬儀を行う。王室冒とく罪というのがあって、映画上映前に王室賛美歌が流れてくる際、起立しなければ処罰される。王室に対する批判は、3〜15年の懲役刑に処される。外国人も例外ではない。イギリスBBCのバンコク支局長が討論会で王室を冒とくしたとして告発され、大変な目に遭った。

 記事が出てから、駐韓タイ大使館関係者が訪ねてきた。記事に書かれた事実については何も言われなかった。ただ、「なぜこのような記事を書くのか」と言われた記憶がある。タイをよく知らなかったが、その記事を通じてなんだか奇妙な国だと感じていたところ、外交官の抗議訪問を受けて確信した。 「ああ、この国は独裁国家だ」。遠い国の週刊誌に掲載された王室に対する批判記事に、こんな敏感な反応をするのだから、個人崇拝と恐怖政治がどれほどのものかは容易に想像できる。

 ところが、韓国がその二の舞になったわけだから、恥ずかしくてならない。ニューヨーク総領事館は「語気を荒げて抗議した」という点は否定しているが、何の役にも立たない。当時のタイ外交官も丁重だったが、私は「本当に情けない」と思っただけだった。ザ・ネーションの編集長と記者は韓国外交官の異例の反応を見て、自分の記事に一層確信を持ったに違いない。

 さらに恥ずかしいことは記事に描かれたタイの“非現実的な現実”が、今、この地でそのまま繰り広げられているという点にある。朴大統領を非難するビラをばら撒いただけで、7カ月間も拘束状態で裁判を受けているパク・ソンス氏の苦難は、王室冒とく罪をはるかに超えるものだ(大統領をゴクリにたとえた医師が大統領侮辱罪で起訴されたトルコも、世界中から失笑を買っているものの、大統領側が直接告訴したにもかかわらず、在宅裁判だそうだ。一方、朴大統領の告訴もなかったのに、警察と検察、裁判所が“空気を読んで”逮捕し拘束する韓国の状況は、笑いではなく、恐怖の対象だ)。

 それだけではない。自分が運営する家具工房の窓に朴大統領を「独裁者の娘」と表現したポスターを貼ったファン氏は、警察と刑事10人に付きまとわれた。警察が「独裁者の娘であるという根拠を示せ」と求めたのは笑い飛ばすとしても、自分の部屋の窓にポスター1枚張っただけで、警察がどっと押し寄せる現実はまた、どんなに恐ろしいものなのか(米国連邦最高裁判所の表現を借りれば、「住居の庭や窓に意見を掲げることは、特別な、重要な表現手段として尊重されなければならない。新聞広告を出したり、街頭に出るほどの財力も時間もない人たちが、自分の意見を表現できる最も安く便利な手段だからだ」)。これに(セウォル号事故当時、朴大統領が不在した)“7時間”について疑惑を持ちあげた産経新聞記者が起訴されたことまで加えると、タイと韓国の状況は、“シンクロ率100%”に近づく。

パク・ヨンヒョン論説委員//ハンギョレ新聞社
 王朝国家を真似しているのか。いや、真似してもいいから、どうせならしっかりやってほしい。昔の王は采詩官に民たちが歌う歌を収集するように命じて民の心を読むのに努めた。まさにその記録である『詩経』には酷政を恨む歌がそのまま伝えられた。「王室如燬」(王室が我が夫を苦しめている、「汝墳」より)と指弾する声も盛り込まれている。 3000年前でも民の声が伝わっていたのに、21世紀の共和制国家で大統領を批判する市民の口がふさがれている。燃えるような酷政、それ以上に奇怪な出来事だ。

パク・ヨンヒョン論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-08 18:43

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/720883.html訳H.J

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