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[社説]韓国の民主主義をまっとうした平和デモ

登録:2015-12-07 10:53 修正:2015-12-07 12:07
5日午後、ソウル広場で開かれた「ペク・ナムギ農民の快復祈願と民主回復、民生再生のための汎国民大会」に参加した市民5万人(警察推定1万4000人)が労働改悪撤回とコメ輸入反対、国定教科書反対などを要求している=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 5日ソウル広場で開かれた「汎国民大会」には予想をはるかに上回る約5万人の市民が参加した。果たして暴力や衝突は全く起きなかった。韓国政府の執拗な弾圧に対して民主主義と集会、デモの価値を守った市民の勝利だ。

 政府は今回の集会の禁止を3度も通告して何とか止めようとしていた。政府を批判する市民の叫び声を聞きたくなかったからであろう。民衆総決起時の一部の暴力事態を掲げて「大規模集会=暴力不可避」という合理的でない論理を11月14日にまき散らし、さらに朴槿恵(パク・クネ)大統領はデモ隊をテロ団体イスラム国(IS)に比喩することすらした。デモ隊の暴力性を取り立てて覆面禁止法を押しつけることもした。しかし集会の主催側や市民・社会団体、宗教界が一致協力して平和的な集会、デモを約束し、最後には裁判所も彼らの手をあげた。道理と法理でもとより政府が敗けたしだいだった。

 実際の集会の姿は市民精神の勝利をより一層くっきり見せた。予想を上回る人出だったのに暴力事態どころか祭りのような雰囲気で終始、集会とデモ行進が行われた。市民は色とりどりの仮面をかぶって出てきて覆面禁止法に象徴される表現の自由の弾圧を風刺して揶揄した。一緒に集まって道路からはみ出ずに歩いて各自の思いを呼びかける集会、デモ本来の姿そのものであった。秩序の維持は守られ、警察も武装を解いてデモ隊を保護する本来の任務を遂行することができた。集会が開かれる直前まで「暴力に厳しい処断」と繰り返して叫んでいた政府と一部の保守陣営は形無しだった。

 もし今回の集会が警察の方針通り根本から封鎖されたり、「禁止VS強行」の衝突模様になっていたら、韓国は国際的にも明らかに再び恥さらしになったのは明らかだ。民衆の総決起が過剰鎮圧された際に農民のペク・ナムギ氏が大量放水を受けて重態に陥って以来、韓国の民主主義の逆行状況に対して外国のマスコミの関心が高まっていた。今回の集会の現場でも外信の取材の熱を帯びた。政府が教科書の国定化や集会、デモの弾圧で国の品格を損ねていく反面で、市民はこれに対抗することによって国の威信をそれなりに守っていると言うべきか。

 政権は選出されたものだといっても、自分の好きなように権力を振りかざすのは民主主義ではない。絶えず市民の声に耳を傾けなければならず、そのために集会、デモの自由がまさに大切なのだ。集会、デモを「許可の対象」と思ったりアレルギー反応を見せるのも全て、独裁体制に根ざした態度だ。表では集会、デモの暴力性を掲げながら内心では平和的な集会、デモまで否定しようとするのも同様である。政府は今回の国民大会を契機に民主主義と集会・デモの意味を省みて、あのように多くの市民が寒さに震えて広場に集まったことを見つめ直さないと、大韓民国は政治的な後進国にさらに転落してしまうだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/12/06 18:33

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/720547.html 訳T.W

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