登録 : 2015.11.09 01:21 修正 : 2015.11.09 10:20

 1950年代のハリウッドの名優、ロバート・テイラーとデボラ・カーが主演した『クオワディス』という映画がある。原題は『クオ・ワディス・ドミネ(Quo Vadis、Domine)』(主よ、どこへ行かれるのですか?)だ。今年の秋の韓国外交を見ていると「クオワディス、朴槿恵(パク・クネ)外交」という言葉が自然に出てきてしまう。

 9月3日、朴大統領が習近平主席と並んで天安門城楼に上がって戦勝節軍事パレードを査閲する場面は印象的だった。国交正常化してから20年以上になるが、50年代の初めの朝鮮戦争以降、40年以上敵対関係にあった両国の指導者が仲良く歓談する場面は「韓国も今やG2の中国が尊重せざるを得ないほど大きな国になった」ことを証明する写真となった。韓国国民も、朴大統領がバランス外交で国としての格をより上げてくれること願ったはずだ。

 しかし、その達成感と期待は、それから40日後にもろくも崩れ去った。韓米首脳会談のため米国を訪れた朴大統領は10月14日、韓米友好協会での演説で「韓国は米国のアジア太平洋再均衡政策の核心軸」と述べた。米国はそもそも朴大統領の中国戦勝節への出席を内心嫌っていた。だが朴大統領は自身のブランドともなった米中バランス外交を実施するため中国の戦勝節行事に出席した。すると米国で「韓国の中国傾斜論」が出てきた。それを意識しすぎたのか、朴大統領は米国に到着するとすぐに「核心軸」という用語を使いながら「私は、中国の味方ではなく、米国の味方だ」というメッセージを強く伝えた。米国のアジア太平洋再均衡政策はいくら美辞麗句で化粧を施しても、その本質は所詮、中国に対する圧迫政策だ。同盟関係とはいえ、米国の公式要請を受ける前に、朴大統領が自ら進んでそのような政策の核心軸を自任してみせたのは、いくらなんでもやり過ぎだった。

 であれば9月上旬韓中首脳会談後に「早急な平和統一のために、今後、両国が緊密に協議することに合意した」とした朴大統領の言葉は、どう理解すべきなのか?韓国がここまで露骨に米国側に立ってしまう場合、韓国に貿易黒字を贈り続けてきた中国は、今後どのように対応するだろうか?中国がまだ反応を見せておらず、11月初めに訪韓した李克強首相もそのような素振りは見せなかった。だからといって、中国が今後も見逃すだろうと思ったら、それは誤算だ。中国は朴大統領の発言をはっきりとメモしておいたはずだ。そしてもう少し見守ってから、決定的な瞬間にそれを問題視して、韓国への圧迫を始める可能性がある。

 10月15日、戦略国際問題研究所(CSIS)での演説で、朴大統領は「韓米同盟を朝鮮半島全域に拡大していくべきだ」と述べた。アジア再均衡政策で中国を圧迫していこうとする米国に、韓米同盟を鴨緑江(アムロクカン)・豆満江(トゥマンガン)まで拡大しようという朴大統領の言葉は頼もしく映ったはずだ。一方でそれは、北朝鮮が韓国の対北提案の真意を疑わせるような発言となる。中国もこれまで朴大統領が習主席にした発言に疑念を抱くようになるだろう。

 ここで政府に問わざるを得ない。韓国大統領が「戦略的協力パートナー」である中国の国家行事に出席したことが、米国にとり“大逆罪”になるのか?中国傾斜論が出始めたとして、米国を拝み倒さなければならないほど、韓国はいまだ弱小国なのか?朴大統領はそんな国の大統領なのか?

チョン・セヒョン朝鮮半島平和フォーラム常任代表・元統一部長官//ハンギョレ新聞社
 11月2日、韓日首脳会談を終えて帰国した安倍首相の言動も、私たちを落胆させる。「ランチなんかで国益を損なうだろうか」、「出来ないことはできないと言った」。安倍首相が朴大統領をどう考え、このような傲慢極まりない発言を口にできたのか?これは、米中間でどたばたした外交を行う韓国を見極め、日本が今後、韓国を見下すことに決めた証拠に他ならない。

 米中間でそれなりのバランス外交を展開してきた朴大統領が今年の秋、両極端に走った。韓国外交が方向を失って右往左往するのを見て、日本が韓国を見下すようなことまで起きた。角度を変えれば、これは韓国型戦闘機(KF-X)事業よりも深刻な問題であるのに、今回のこともうやむやになっている。こうしたことがあってはならない。今後のことを考え、韓国外交の切実な“リバランス”が急がれる。

チョン・セヒョン朝鮮半島平和フォーラム常任代表・元統一部長官(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-08 18:50

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/716452.html訳H.J

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