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[社説] “質の悪い仕事”の罠にかかった朴政権の雇用政策

登録:2015-11-05 08:04 修正:2015-11-05 08:09
低賃金と雇用不安に苦しむ非正規雇用の比率が高まり、最近の労働者集会では「非正規雇用撤廃」を要求するプラカードとスローガンが登場している=資料写真///ハンギョレ新聞社

 月平均20.1時間の仕事をして、70万5千ウォン(約7万4千円)を稼ぐ。10ある仕事のうち8つは国民年金、健康保険、雇用保険に加入しておらず、退職金や賞与金、有給休暇ももらえない。これが韓国の時間制勤労者の現実だ。そんな人たちの数がかなりのスピードで増えている。

 統計庁が4日発表した8月の経済活動人口調査付加調査結果によると、時間制勤労者は223万6千人になり、全賃金勤労者の11.6%に達する。全勤労者数が1年前に比べ2.85%増えたのに対し、時間制勤労者は10%も増えている。1年間で53万6千人増えた就職勤労者のうちの38.1%に当たる20万4千人が時間制勤労者だった。このため減少傾向だった非正規雇用の比重が4年ぶりに増加傾向に戻った。

 時間制勤労者数は、世界金融危機後の2009年と2010年に前年比2桁の増加率を示したことがある。その後は増加傾向が大きく鈍化したが、昨年8月の調査で7.91%、今年再び10%と増加率が高まった。これは政府が2013年5月に任期内雇用率70%達成を目標に掲げ、時間制勤労を増やすことに焦点を合わせた政策を展開した影響と見られる。

 女性など全日制の勤労が難しい人材を雇用市場で吸収し、雇用率を高めようとした目標に原因を求めるべきではない。問題は質の良い仕事の創出と併行できていない点にある。その結果、雇用率増加は微小で、質の悪い仕事ばかり大きく増えてしまった。政府の任期内雇用率70%達成ロードマップは、今年の雇用率目標値を66.9%に定めたが、直近の9月の雇用率はそれにはるか及ばない60.9%に留まっている。前年同月比で0.1%ポイントしか増えていない。最近2年間に時間制勤労者は女性が14%増えたのに対し、男性はその倍を超える30.8%も増えた。仕事がない男性のうち10人に7人は、全日制の仕事があれば時間制の仕事を望まないと統計庁調査で答えている。男性の時間制勤労者がここまで大幅に増えたのは、質の良い仕事の機会が生じたためでなく、やむを得ない選択だったのだ。

 政府政策は当初から憂慮されていた“質の悪い仕事の罠”にかかったと言える。金利が史上最低水準なのに家計で貯蓄が増えているのは、仕事が安定的でなくて将来が不安なためだ。この現実を度外視したまま政府が企業の費用軽減をさらに念頭に置き雇用政策を行っているのだから、悪循環は止まる気配がない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-04 19:28

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/715968.html?_fr=mt0 訳Y.B

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