10日前後に北朝鮮の長距離ロケット、あるいは衛星発射が迫っているという展望が多く出される。労働党創建70周年を迎える北朝鮮は連日、「衛星発射と核抑止力の強化は主権国家の自主的権利行使」として発言の強度を高めつつある。 これを見守る中国の内心は複雑だ。
公開的な中国の態度は明確だ。 習近平国家主席は先月の訪米当時、「国連安全保障理事会決議は当然完ぺきに執行されなければならない。いかなる国家も越権を行使してはならない」と述べた。 彼は以前にも「朝鮮半島の非核化と平和安全」を強調した。 習主席は米中首脳会談でも対北朝鮮警告発言をしたが、この発言は中国外交部の米中首脳会談関連発表文には含まれなかった。 米中共同歩調を必要以上に浮き彫りにして北朝鮮を刺激すまいとする動きだ。 中国の苦悩が読み取れる内容だ。
北朝鮮のロケット発射や核実験は、中国の利益にはならない。 北朝鮮が核、ミサイル試験を敢行すればするほど、アジア地域の軍備競争は深刻化される。 北朝鮮を口実に韓米日同盟の強化と軍事力拡大など冷戦のしくみが作動するのは中国としては避けたいシナリオだ。 すでに一部の日本のマスコミは「日本が北朝鮮のロケット発射に備えてイージス艦を東シナ海に投じる方案を検討している」と伝えている。 依然として深刻な問題である高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備の可能性もまた北朝鮮の脅威と別にはできない問題だ。 米国のアジア再均衡ないしは回帰戦略は、北朝鮮を軸に作動している。 この戦略が自国を狙うものだと信じて疑わない中国としては“北朝鮮リスク”を管理しなければ米国の介入に名分を許すことになる。
とはいえただ単に韓米日の対北朝鮮圧迫の隊列に参加することもできないのが中国だ。 地政学的に中国に対する北朝鮮の緩衝作用は有効だ。 周知のように現在の北朝鮮と中国の関係は「課長級以下の交流だけがなされる」という外交消息筋の話の通り冷え込んでいる。 中国内部では「朝中関係が過度に冷却されたのは、米国の戦略に巻き込まれた面がある」という困惑が存在する。
問題は中国より北朝鮮が抱いている相手に対する不満と排斥がさらに深刻だということだ。 ある北朝鮮問題専門家は「習近平政権になって血盟という特殊関係が薄められ、金正恩という最高指導者を先代ほどには優遇しないことにともなう北朝鮮の背信は想像以上に深い」と話した。 今年、駐中韓国大使館の国政監査報告書でも「中国は北朝鮮との関係改善を推進しようとしているが、北朝鮮は冷淡で一貫している」と指摘している。 強烈な不信と敵対感を持った主体が北朝鮮だという点が中国の選択肢を狭めている。 一部では「丹東(タントン)鉄橋の下に敷設された対北朝鮮送油管を閉めれば良いのではないか」というけれど、これは中国としても北朝鮮と「格闘する状況」を想定した最後のカードに過ぎない。
中国にとって北朝鮮は負債であり資産だ。 外部が見るほどに北朝鮮を意のままにできる立場ではない。 ある中国の学者は「先月の木箱地雷挑発事件による朝鮮半島の一触即発危機当時、北朝鮮に対する中国の影響力発揮はなかったと見ても差し支えない」と話した。しかも最近のヨーロッパ難民事態は、中国指導部に対して「北朝鮮崩壊=災難」という認識を強化させただろう。
直接的に中国の内心を明らかにしたりする環球時報が最近の社説で「韓米日も北朝鮮も全て態度は簡明だ。最も苦しいのは中国だ」と書いたのは口先だけとは言えない。 自ら“苦しい”と言っている中国を、朴槿恵(パク・クネ)大統領の軍事パレード出席以後に単純に“我が方”と決めつけ、「核を飛び越える統一論」とか「対北朝鮮圧迫中国役割論」を押しつけるのは、朝鮮半島情勢を描く時に避けなければならない誤りだ。