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[コラム]新政治民主連合は金大中・盧武鉉元大統領の名を売るべきでない

登録:2015-06-01 23:52 修正:2015-06-02 09:04
文在寅・新政治民主連合代表の後ろに、金大中元大統領と盧武鉉元大統領の写真が見える。 国会内の新政治民主連合代表室と院内代表室、スポークスマン室には二人の元大統領の写真が並んでかかっている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

補欠選敗北後、またも権力争いに二人の元職大統領を引き込む
これ以上「親盧」「東橋洞」「金大中」「盧武鉉」を口にすべきでない…
文在寅、安哲秀、キム・ハンギル、パク・チウォン、自らをかけて堂々とやれ

 国会内の新政治民主連合代表室と院内代表室、スポークスマン室には金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の写真が並んでかかっている。 ここで党会議を行う時に行って見れば、二人が会議参席者をじっと見下ろしているような錯覚を覚える。 このごろ写真の中の表情がちょっと悲しく見える。 野党内部の権力争いに自分たちの名前が動員されるとは、生前に想像したことがあるだろうか?

4・29再補欠選挙以後、チュ・スンヨン最高委員とパク・チウォン議員が投じた「文在寅(ムン・ジェイン)責任論」が「親盧・覇権主義」の攻防に広がり、収まる気配が見えない。

 攻撃の前列に前代表のキム・ハンギル議員がいる。キム・ハンギル議員は代表時代、“親盧”が自分を揺さぶって落とそうとしていると把握した。 2014年1月の新年記者会見で「内部に残存するセクショナリズムを克服する」と言ったことがある。 そのキム・ハンギル議員が今は文在寅代表を揺さぶっている。

 「党代表である私がその方の名前で覇権を追求するならば、その方は天で怒るでしょう。 また親盧と非蘆で分裂を助長することこそ、その方が一番悲しむ事です」(文在寅)

 「親盧と言われる方々が自ら壁を取り壊すならば、我が党の親盧・非蘆といった分裂はすぐに消えるでしょう。 だから世間で親盧の座長と呼ばれる文代表の決心にかかっているのです」(キム・ハンギル)

 親盧と非蘆 、または親盧と湖南の葛藤フレームは、2004年の総選挙を控えて民主党からヨルリンウリ党が割れて出た時に宿された。目ざといハンナラ党と保守性向の論客は、野圏分裂のその種を見逃さなかった。親盧は「従北」「386」「強硬」などの単語と順次結合されて行った。

 10年以上が経った。盧武鉉はもうこの世にいない。 それなのに保守性向のマスコミは相変らず「親盧」という単語を何のためらいもなくタイトルに使っている。 追悼式でノ・コノ氏がセヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表を直接攻撃したのは不適切だった。 しかしノ・コノ氏は盧武鉉元大統領の息子だ。親盧ではない。

 不思議なのは野党がまだその親盧フレームから脱することができずにいることだ。 一体なぜだろう。“親文”(親文在寅)という言葉はどうして誰も使わないのだろうか。

 「金大中」は野党においては神聖な名前だ。そんな名前に泥がつき始めたのは、4・29再補欠選挙を控えて文在寅代表がクォン・ノガプ常任顧問とパク・チウォン議員の選挙支援を要請した時だった。双方の駆け引きの中で、「東橋洞系」は党内権力争いの一軸として描写された。東橋洞系とは政治的に「金大中」を意味する。

 選挙が終わると「湖南政治」の復元を掲げたチョン・ジョンベ議員が「DJ」(金大中)を口にした。金大中平和センターのイ・ヒホ理事長は「私の夫の名が政争の中で言及されないようにしてほしい」と頼まなければならなかった。

 二人の元大統領の存在は、現在の野党が執権した経験がある証拠だ。 野党全体の貴重な政治的資産である。 それなのに野党の人々は、個人の政治的利益のために二人の元職大統領をしきりに党内に引き込んでいる。

 そんな人々であればあるほど、二人の元大統領を過度に美化するきらいがある。 彼らにとって金大中は「完璧な力量とリーダーシップを備えた人物」であり、盧武鉉は「所信を貫徹するために全てを投げ打つ勝負師」としてしばしば描写される。 二人が生きていたら現在の難関をすべて乗り越えて行けるかのように言う。嘘だ。

金大中元大統領と盧武鉉元大統領 //ハンギョレ新聞社

 二人が多くの弱点を持っていたという事実は、大概の人は知っている。 金大中元大統領は独裁との戦いのためか、非常に独善的な所があった。 東橋洞には参謀はおらず秘書だけがいた。 盧武鉉元大統領は猪突的なところがあった。金大中元大統領は自敍伝にこう書いている。

 「盧大統領の5年間に民主党の支持基盤が崩れた。対北朝鮮支援に対する特別検事制実施や分党などは誤りであった。 そのうえ、原則もなしにハンナラ党に連立政権を提示して最大支持基盤である湖南の人々と若者を失望させたのは実に残念なことだった」

 もう少し率直に言おう。 金大中と盧武鉉、二人は彼らの力だけで大統領に当選したのだろうか? 盧武鉉元大統領の1周忌に出版された自敍伝『運命だ』にはこんな記述が出てくる。

 「彼ら(若者たち)が奇跡を作り出した。 それは決して当然な勝利ではなかった。 一回性の勝利、意外な勝利であった。 金大中大統領の当選も自分の当選も、どちらも異例な特殊条件が結合して作り出された事件だった」

 奇跡が2回続けて起きたという話だ。こんな言葉も残している。

 「保守勢力は理念的にしっかり結束しているだけでなく、既得権のための結束力も非常に強い。 共同の利益に根拠を置いたネットワークを感性的ネットワークに再組織する能力も優れている」

 野党の周辺には、2016年の総選挙はともかくも2017年の大統領選挙は勝つだろうという楽観論がある。 1997年、2002年、と二度の奇跡から生じた錯覚だ。 2007年、2012年に較べて政治環境が野党に有利になったと見る根拠はほとんどない。 候補群も金大中・盧武鉉を凌駕するとは見難い。 2017年の大統領選挙で野党が勝てば本当に奇跡だ。

 現在野党の罹っている疾病の名前は「切迫感喪失症」だ。 党指導部や国会議員、党役員の政権交替に対する熱望が支持者より高いとは見難い。 どうして自分たちが政権を執らねばならないかを正確に説明することができない。

 そこで要求する。これ以上元職大統領の名を売って卑怯な政治をするな。親盧、東橋洞、金大中、盧武鉉という単語を一切口にするな。 国会と党本部にかかる二人の写真と胸像も、もう片付けたらいいと思う。

 過去の華やかなりし時代の追憶を売る人々に、有権者は絶対に票を与えない。 文在寅、安哲秀、キム・ハンギル、パク・チウォンの政治が一体何なのかを明らかにせよ。 どうしてあなたたちを支持しなければならないのか、どうして新政治民主連合を支持しなければならないのか、言って見なさい。自らをかけて堂々と立ちなさい。

ソン・ハニョン政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/692695.html 韓国語原文入力:2015-05-25 17:04
訳A.K(3014字)

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