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[社説] 維新の亡霊に擦り寄る韓国最高裁判決

登録:2015-03-27 09:36 修正:2015-03-27 09:55

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権の「維新」時期に国民の自由を踏みにじる道具となった緊急措置は2013年の大法院(最高裁)判決で違憲と宣言された。ところが、この緊急措置を発動した朴正煕元大統領の行為は不法行為でないとする大法院判決が26日出された。辻褄の合わない呆れた判決であり、時代に逆行する退行的な判決である。

 大法院は昨年10月、「緊急措置は当時としては有効な法規であり、これにともなう公務員の職務行為が直ちに不法行為に該当するとはいえない」という判決を出し批判された。警察や検察が令状なしで無実の市民を逮捕・拘禁しても、公務員として当時の実定法である緊急措置を執行しなければならなかったため不法行為ではないというのだ。極めて形式的かつ没歴史的な論理だった。

 だが、この論理を根拠としても、大統領の緊急措置発動の行為には不法性が認められた。与えられた義務によって行動した他の公務員たちと異なり、国政の最高責任者である大統領自ら違憲的な緊急措置を下したためだ。今回の大法院判決はこれさえも否定した。緊急措置権の行使は高度な政治性を帯びた国家行為であるとして、大統領はその政治的責任に関しいかなる法的義務も負わないという理由からだ。こんな論理であるなら、独裁者がいくら違憲的な措置で国民の自由と権利を弾圧しても、事後的に法的責任を問うことができず、国民の被害も救済されなくなる。

 一方で2審判決は、国家緊急権の行使が原則的に政治的責任だけを負う行為であっても、その内容が明確に憲法に違反する場合は違法行為が認められるとした。大統領には憲法守護の義務があるためだ。結局、朴正煕政権の緊急措置は、維新憲法に照らしてみても国民の基本権を侵害し自由民主的基本秩序にも反する明白な違憲であるため、大統領に故意または過失が認められるというのが2審の結論だった。

 大法院と2審判決を比較すれば誰の目からも2審のほうに説得力がある。判決文を読むと、大法院は2審の論理をまともに反論することもないまま急いで正反対の結論を出している。これでも人権の最後の砦として国民の基本権と自由民主的基本秩序を守る大法院の責務を尽くしたと言えるのか問いたい。

今回の判決は過去の独裁体制に免罪符を与えると同時に、未来の独裁者に法理的な裏口を開いたのも同然だ。独裁政権下でパク・ジョンチョル氏拷問致死事件をまともに捜査しなかったパク・サンオク検事が最高裁判事候補者に推薦されている状況まで重ね合わせると、大法院の民主主義認識に対する深刻な疑問を拭いきれない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.26 18:18

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/684118.html 訳Y.B

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