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韓国最高裁、朴正煕維新体制に免罪符

登録:2015-03-27 01:06 修正:2015-03-27 07:16
「緊急措置は統治行為」判決
昨年11月、緊急措置9号被害者が「悪法にともなう捜査や裁判そのものは不法行為ではない」とした大法院判決に抗議している。イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 大法院(最高裁判所)が26日、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の緊急措置発動を「高度の政治性を帯びた国家行為(統治行為)」に規定する判決を出し、過去の歴史賠償の道をまたもや塞いだ。今回の訴訟では、捜査機関だけでなく、朴元大統領の緊急措置発動自体を国家賠償法が規定した「公務員の故意または過失による不法行為」として捉えられるかどうか争点になっていた。原告勝訴が大法院で確定した場合、朴元大統領に過去の歴史責任を直接問う最初の事件になるはずだった。そのような点で、今回の判決は朴槿恵(パク・クネ)大統領の父が率いた維新体制に対する免罪符の決定版とも言える。

 検察は当初、1995年、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領など、新軍部関係者の内乱などの疑いについて「成功したクーデターは処罰できない」という論理で不起訴処分し非難受けたが、大法院の論理はこれに比肩する。検察も当時「典型的な統治行為の領域」という表現を使って、新軍部に免罪符を与えようとした。

 「成功したクーデターは処罰できない」
 検察の「全斗煥不起訴論理」と類似
 被害者の賠償への道塞がれる
 民弁「大法院、維新の懐に抱かれた

 今回の判決は過去の大法院の全員合議体判決の趣旨を事実上全面的に否定するという問題点もある。緊急措置に対する損害賠償請求を制限しようとしたことで、大法院自ら過去の立場を翻し、無理な論理を提示したものと思われる。大法院は、2010年と2013年の「民主主義の本質的要素であり、維新憲法と現行憲法が規定した表現の自由、令状主義と身体の自由、住宅の自由、請願権、調査の自由を厳しく制限することにより、国民の基本権を侵害」したとし、緊急措置1号、9号、4号を違憲・無効と判決した。それとともに緊急措置が司法審査の対象になると明らかにした。当時、大法院は、「高度の政治性を帯びた国家行為は、いわゆる統治行為として司法審査が制限されることもあり得るが、基本権を保障し、法治主義の理念を具現すべき裁判所の責務を怠ったり、あきらめてはいけない」との立場を示した。

 チョ・ヨンソン弁護士は「大法院の緊急措置違憲判決の趣旨は、大統領の統治行為であっても憲法と法律に則らなければならず、これに違反する場合は法的責任を問うことができるというものである。今回の判決は、統治行為だから賠償責任がないということで、(自らの判断と)矛盾している」と述べた。憲法裁判所は、1995年に検察の新軍部関係者不起訴について「成功したクーデターも処罰できる」という立場を明らかにした。民主社会のための弁護士の会はこの日、声明を出して「(大法院)小部で過去全員合議体判決と憲法裁判所の決定、刑事再審判決の趣旨を翻し、『成功したクーデターは処罰できない」』と宣言した」とし「大法院が維新の懐に抱かれた」と批判した。

 大法院のこのような態度の裏には、基本的には維新憲法は適法であり、それに基づいた統治行為も違法として認めない見方が横たわっている。大法院はこれに時効など各種民法上の論理を動員し、賠償の権利を制限している。

 大法院の相次ぐ「歴史退行判決」で、被害者たちは緊急措置による捜査・裁判を受ける過程で拷問や苛酷な行為をされたという具体的な証拠を提示しない限り、損害賠償を受けることができなくなった。被害者たちは、数十年が過ぎた状態で拷問や苛酷行為の証拠を見つけて証明することは事実上不可能であると主張している。

 イ・ジェスン建国大学法学専門大学院教授は「裁判所が緊急措置のように、被害者が多い場合、個々の訴訟で賠償を命じることに負担を感じているようだ。過去の歴史清算の流れに合わせて判決を行ってきた既存の態度を変えようするから、このような論理が出てくるのだろう」と述べた。

イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.26 20:15

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/684211.html  訳H.J

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