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[コラム] 統一部長官と北朝鮮当局に勧告する

登録:2015-03-24 20:57 修正:2016-12-29 15:49

 開城(ケソン)工業団地が2年ぶりに再び困難に直面している。 2年前は韓米連合訓練のためだったが、今回は賃金と土地使用料のためだ。

 2004年、開城工団の稼動を前に南北は、工団運営に関する事案は双方が合意した内容を北の法令として制定し適用することにした。 法令の効力は10年とし、満了前に改定内容を協議することにした。 南北は、最初の3年間については賃金引き上げをせず、4年目から毎年5%ずつ引き上げることにした。 土地使用料は10年後から支払うことにした。 ところが最近北側が、10年満了の時点で南北の協議をせずに法令を改定し、賃金は基本の5%より0.18%多く引き上げ、土地使用料は坪当たり5~10ドルを支払うよう要求してきた。

 2013年、韓米連合訓練のために工団を4カ月閉鎖し8月に再稼動に入った時、南北は「開城工団共同委員会」を構成して工団の運営問題を協議していくことにした。 10年の効力満了を控えての処置であった。しかし、そのような約束をしてから1年余、北は開城工団労働規定など13の関連法令を改定し、賃金と土地使用料を一方的に決定した。 そして4月からはそれを支払えと企業を圧迫している。 開城工団共同委員会を開こうという韓国政府の通知文も、入居企業からの建議文も受付けようとはしない。

 北は何故、こんなことをするのか? お金のためという見方もあるが、それだけではなさそうだ。韓国政府が開城工団問題を解決するために、北の他の要求を受け入れざるを得ないようにしようとする“回し蹴り”のように見える。 軍事演習の中止、対北ビラ散布の中止、統一準備委員会解体など様々な要求があるが、北の政治文化を考慮すれば自分たちの“最高尊厳”に触れる対北ビラ散布の中止が最優先要求であるようだ。 北が今回の処置を取った時点を考えれば、こうした北の本音が読み取れる。

 昨年10月初め、北の高位層の電撃訪韓を機に南北当局者間の対話があった。 その結果、第2次南北次官級対話が実現されるかに見えたが、だめになった。 対北ビラ散布を中断させるようにという北の要求を韓国政府が聞き入れなかったためと見られる。 昨年11月は当然ながら、南北関係が行き詰まらざるを得ない状況だった。 まさにそのような時点で10年の効力満了は過ぎており、南北協議は不可能な状況で124にものぼる企業のために韓国政府が自分たちの要求を受け入れ、対話に出て来ざるを得なくさせようという計算をしたと考える。 金のためならば、賃金を0.18%だけ引き上げようとはしなかっただろうし、土地使用料も坪当たり5~10ドルと余裕を持たせはしなかったはずだ。 金の問題は交渉の余地があるという暗示と見られる。

 韓国政府は、北が10年前の約束、1年前の約束を破って一方的な決定を強行しようとしているとして、今回も「原則」だとか「真正性」だとか言いながら問題解決を延ばしていてはならない。 南北当局間で板ばさみになっている工団入居企業の死活がかかった問題だ。 新しい統一部長官がこの問題を解決するならば、“誰でも(やれる長官)”ではなく、“その人(だからこその長官)”にもなり得る。

 開城工団問題を解くには、南北会談を先ず成功させなければならない。 そのためには、対北ビラ問題を解決しなければならない。 対北ビラ散布を中止させるためには、それを「表現の自由」と見る大統領を先ず説得しなければならない。 信任の篤い秘書官出身の長官だから、可能ではないかと思う。

チョン・セヒョン金大中平和センター副理事長・元統一部長官//ハンギョレ新聞社

 

 北朝鮮当局も強引な手段を用いてはならない。 今回、開城工団問題の処理を誤れば2013年11月から意欲的に開始した18件の経済開発区の事業推進が打撃を受けかねないことを知るべきだ。 1990年代初め、北朝鮮は「羅津(ナジン)・先鋒(ソンボン)自由経済貿易地帯」に外国資本を誘致しようとしたが失敗した。 投資希望者たちを不快にする高圧的態度とややこしい制度のためだった。 そんな経験のある北朝鮮が、今回また開城工業団地で“甲(強者)の横暴”的なやり方をしたらどうなるだろう? それを見た外国企業が、外国投資が絶対に必要な18の経済開発区への投資に快く乗り出すことができるだろうか? 北朝鮮当局は、何が金正恩(キム・ジョンウン)時代の経済業績作りの障害になるのか、自問してみる必要がある。

チョン・セヒョン金大中平和センター副理事長・元統一部長官(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/683377.html 韓国語原文入力:2015/03/22 18:51
訳A.K(2006字)

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