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賃上げめぐる南北対立で板ばさみの開城工業団地企業

登録:2015-03-18 02:08 修正:2015-03-18 07:17
 北朝鮮、一方的な「賃金引上げ説明会」
 政府「応じないよう」企業に圧迫
 企業、今日解決を促す文書北朝鮮に伝達
開城工業団地入居企業関係者らが17日午後、ソウル汝矣島中小企業中央会で統一部が開いた説明会に参加し、政府が作成した資料を見ている。イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が開城(ケソン)工業団地における北朝鮮労働者の賃上げを一方的に通知したことで生じた南北対立が増幅されている。南北当局が17日、開城工業団地入居企業を対象に、それぞれ別の説明会の開催を推進するなど、当局間の神経戦が激しくなっており、板挟みになっている企業の不安も高まっている。

 北朝鮮はこの日、最近改正した労働規定について説明したいと、開城工業団地に入居した企業の現地法人長を中央特区開発指導総局の事務室に招集したが、実現しなかった。韓国政府が北の招集通知の直後、企業にこれに応じないように指示を出したためと思われる。開城工業団地入居企業の代表らは18日、開城工業団地を訪れ、問題解決を促す文書を北朝鮮当局に渡す計画だ。

 政府はこの日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)中小企業中央会で入居企業を相手に説明会を開いた。この席で政府は、「北朝鮮の賃上げ要求に応じず、これにより不利益を受けた場合は、経済協力保険金を支給してもらえるようにする」と協力を要請した。イ・ガンウ統一部南北協力地区発展企画団長は「北の賃上げ要求を受け入れた場合、税金・保険など、残り15の規定も一方的に改正される可能性がある」とし「北朝鮮に積極的に同調する企業には示範的に事業承認の取り消しもあり得る」と警告した。企業側は不安を訴えた。説明会に参加したある企業は、「資金事情が悪く経済協力保険に加入できない企業は保険金も受け取れない。政府の方針に従えというのは、何もかも失うということだ」と不満を爆発させた。

 これに先立ち北朝鮮は昨年11月の年5%の最低賃金引き上げの上限を廃止し、先月、月最低賃金を3月から70.35ドルから5.18%上がった74ドルに引き上げると、一方的に通知した。政府は強い遺憾とともに受け入れられないとの意向を表明し、賃金問題などを議論する共同委員会の開催を提案したが、北朝鮮側は「公正な法的権利行使」だとして、この提案に応じていない。北朝鮮が一方的に引き上げを宣言したことで、今月末から現場での摩擦が起こる可能性がある。政府の一角では、2013年に一方的な労働者の撤退により長期間にわたる開城工業団地閉鎖の事態を経験した北朝鮮が、当時のように強硬一辺倒で出てくる可能性もあると判断している。現在、開城工業団地には企業124社と事務所91カ所が稼動している。

 一方、統一部は一部の脱北者団体が26日、天安艦被撃5周年を迎え、無人機(ドローン)などを動員し、北朝鮮ビラ撒きに出る可能性と関連し、「無人機を利用した対北朝鮮ビラ撒きは、法に抵触する行為」だとし、取り締まる方針を明らかにした。

キム・ジフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.17 20:40

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/682731.html  訳H.J

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