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[社説] 言論統制が憂慮される朴槿恵政権の「言論協力官」

登録:2015-03-21 08:07 修正:2015-03-21 11:01

 文化体育観光部(文体部)がマスコミ関係者の対面接触や報道協力要請を主な業務とする言論協力官という職制を新たに設けるという。文体部は今まで政府政策に関する広報全般を扱ってきた広報処や国政広報処の機能を吸収し、国民疎通室を設置している。国民疎通室は広報政策官のもとに5課、広報コンテンツ企画官のもとに4課あり、既存組織だけでも規模は小さくない。そこへ報道機関幹部出身者を追加で採用し、新聞、放送、インターネットメディアを担当させるというのだから、その背景を見過ごすわけにはいかない。

 文体部関係者の説明によれば、大統領府人事介入説、機関長の天下り問題、人事乱脈が相次いで報じられ朴槿恵(パク・クネ)大統領の“不通”イメージが広まったのが契機になったという。就任3年目を迎えた朴大統領の国政遂行に対する評価は非常に厳しい。朴大統領と大統領府に対するマスコミの報道も、政府の立場からすれば友好的とはいえないだろう。こうした状況のなかで、政府公報業務を総括する文体部の言論担当組織を拡充し、状況を打開しようとそれなりの知恵を絞ったものと思われる。

 しかし政府の動きは本末転倒といわざるを得ない。国政批判の世論が高まっているなら、国政の乱脈を導いた原因をまず除去すべきだ。政府の外部環境要因であるマスコミを嫌ったり、世論操作を試みたところで問題は解決されないだろう。

 言論協力官の業務形態も問題になるものと予想される。言論人出身を迎え入れて報道機関幹部、記者らと常に会って協力を要請するというが、協力といっても不適切なロビーに変質する可能性が高い。

 ロビー目的を達成するためジャーナリストや報道機関に見返りを提示して懐柔したり、広告を武器に圧迫する可能性がある。政策を説明し国民と疎通するという次元での公報機能活性化自体は必要である。だが、その場合であっても、政策説明会を増やして政策情報の公開水準を高めるのが筋だ。公報活動の合理化、透明化がまさにそれだ。マスコミを相手にするなと言っているのではなく、言論統制や懐柔につながりかねない水面下の活動要素を止めるのが望ましいということだ。

 国境なき記者団の発表によると、韓国の言論の自由度の順位は毎年落ちている。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代は平均39~40位に留まっていたが、昨年は57位に落ち込んだ。言論の自由を拡大しようと努力しても足りない言論環境にあるのが現実だ。背景と意図が疑われる言論協力官の新設を中断することを望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.20 18:37

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/683231.html 訳Y.B

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