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メディア統制に乗り出す韓国政府、言論機関担当の役職を新設

登録:2015-03-20 08:57 修正:2015-03-20 11:37
報道機関への圧迫・懐柔の悪用を憂慮
文化体育観光部のロゴ //ハンギョレ新聞社

 言論機関出身の「協力官」採用を推進
 新聞、放送、インターネットメディアの窓口に活用
 文化体育観光部「政策懸案疎通のため」と釈明

 政府政策に関する広報全般を扱う文化体育観光部(文体部)国民疎通室が、報道機関幹部出身者を採用して、マスコミ関係者との対面接触や報道協力要請のための窓口として活用する「言論協力官」を新たに用意していることが、分かった。学者などからは言論協力官による報道協力要請が、状況によっては報道機関に対する圧迫・懐柔用に変質するなど、報道統制手段として悪用されると憂慮する。

 19日、政府関係者は「国民疎通室が昨年の年末から言論担当協力官(仮称)の役職を設ける計画を検討し、最近になり組織構成などに関する基本案が整った」と明らかにした。新設される役職には新聞、放送、インターネットなどを専門に担当する言論出身者の協力官3人と支援人材が配置される予定だ。

 言論協力官は任期2~5年の専門任期制契約職(局長級)で、報道機関幹部出身の退職者の中から、適任者を1、2カ月中に公募または推薦で採用する計画だ。現在の国民疎通室はソウル・光化門の政府庁舎と国立現代美術館ソウル館、龍山区西界(ソゲ)洞の国立劇場別館などで協力官が活動する事務室を物色中だ。国民疎通室がキム・ジョンドク文体部長官に直接報告する形で推進されるこの計画は、外部はもちろん文体部内の他の局・室にも知らされてこなかった。

 文体部は「報道機関(編集・報道)局長、記者に常時会い、報道が予想される政策懸案を事前に説明し、協力を要請するのが主な業務」とし「契約職なので1年に1回政府の承認を受けて任期を延長する臨時の役職」と明らかにした。また、「広報専門家も採用対象に含まれる」と付け加えた。

 国民疎通室幹部は「業務に就く公務員が報道機関の立場を理解し疎通しにくい現実を考慮し、宗教界から宗務官として迎え入れてきた慣行にならい、マスコミに精通する前職言論人を政策疎通に活用しようとする趣旨」と説明した。大統領府人事介入説、機関長の天下り、人事乱脈が相次いで問題となり朴槿恵(パク・クネ)大統領の“不通”イメージが広がったのが直接の契機になったというのが文体部関係者の説明だ。

 だが、言論学界の専門家は、協力官の新設が目的や機能などで時代に逆行すると指摘した。政府政策を公開で説明する公報機能と異なり、報道機関の幹部・記者と私席で会って協力を要請する「ロビー活動」が主な業務となるためだ。キム・ソジュン聖公会大教授は「言論出身者が機関員となって報道機関に出入りして常に記者たち会う行為自体が異常な権威主義時代の慣行」とした上で、「報道協力要請は報道機関や言論人の個別的状況により、いつでも圧迫や懐柔に変質する恐れがあり、暗に報道内容を事前調整する余地もあり悪用される可能性が高い」と語った。

 1980年代初めに報道指針などで悪名を駆せた文化公報部・広報調整室も、前職言論人を職員として採用して報道内容を事前調整した前歴がある。

ノ・ヒョンソク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.20 01:35

https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/683179.html?_fr=mt1 訳Y.B

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