文化体育観光部(文体部)が報道機関へのロビーを担当する広報(メディア)協力官の職制を新設することにしたことに対し、政界とマスコミなどが言論統制手段として見直しを要求するなど、波紋が広がっている。文体部は国民との疎通強化のための改編だと釈明したが、マスコミは、国民疎通室という既存の専担部署があるにもかかわらず、あえて次官補を室長としたジャーナリスト対面接触組織を新設した背景について、疑念を拭いきれないでいる。
キム・ソンス新政治民主連合報道官は20日のブリーフィングで、「報道機関の懐柔と圧力ロビー手段に変質したり、悪用される公算が非常に高い」とし「独裁政権時代の言論統制を復活させようとするのでなければ、協力官新設の全面的な見直しを強く要求する」と明らかにした。同連合のメディア対策特別委員会委員長であるオ・ヨンシク最高委員も「政策を公開して説明する公式的な広報機能とは異なり、権力を利用したロビー手段に転落する可能性がある」とし「第2の報道指針事態をもたらす可能性もある非常に危険な発想だ」と憂慮を示した。キム・ジョンミン正義党報道官もブリーフィングで「『国境なき記者団』が発表した昨年の韓国の言論自由指数は、2013年の世界50位から10位も後退した60位で、恥ずかしい限りだ」とし「このようなメディア環境の中で、言論の自由を統制するための機関を設けようとするのが嘆かわしい」と批判した。
新政治民主連合「権力ロビー手段の可能性」
言論労組「報道に積極的に介入しようとする意図」
第2の報道指針事態の懸念も
文体部「悪用の恐れはない」強行姿勢貫く
メディア団体も懸念の声をあげた。ギム・ファンギュン全国言論労働組合委員長は「誤った報道を事後に訂正要求するレベルではなく、マスコミの取材・企画段階から報道まで積極的に介入をしようとする意図が色濃く見える」とし「マスコミに対して陰湿で非原則的に接しようとする、権威主義時代の思考に囚われた横暴」だと批判した。チュ・ヘソン言論改革市民連帯事務総長も「ジャーナリストを政権の“盾”にしようとする発想に違いない」とし「『疎通の強化』というが、事前に記事を統制しようとする意図がうかがえる」とした。
文体部は釈明報道資料を出し 「(名称は)メディア協力官ではなく、広報協力官」であり、「広報協力官は、長官と第2次官を補佐し、国政広報とメディア協力業務を管掌する次官補(高位公務員加給・1級)と一緒に新設される職制」と説明した。それとともに、この組織再編案が17日、閣議で可決されたという事実を遅れて明らかにした。文体部側は「国民との疎通強化のための改編であり、ロビー専門組織の新設や報道機関の圧迫・懐柔に悪用されるおそれ等の表現は、現実とは全く合わない」と主張した。
しかし、局長級の広報協力官の職制が新設されたのは、1987年文化公報部広報調整室が廃止されてから28年ぶりのことだ。国家政策広報のために1級室長級担当次官補が配置されたことも国政広報処が廃止された2008年以来、7年ぶりのことで、国政広報処の高位職級が事実上復活したのも同然だ。メディアに対する強めの戦略が作用したことによるものではないかという分析が出ている。
文体部は、広報協力管が各宗派の人たちで構成され宗務室の宗務官と似ていると発表したが、業務機能や活動範囲の面で大きく異なるという指摘もある。宗務室は教団関連の懸案だけ取り上げるが、次官補と広報協力官は、政府の政策全般について報道機関を全面的に接触し、ソウルに常設事務所を開設して活動するという点で根本的な違いがあるということだ。
韓国語原文入力: 2015.03.20 19:45