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[社説] サード配備問題は日和見主義では解決されない

登録:2015-03-18 09:15 修正:2015-03-18 11:38

 高高度防衛ミサイルであるサード(THAAD)の在韓米軍配備をめぐり葛藤がますます深まっている。舵取りを誤ると韓米、韓中関係の両方が傷つく可能性もある。「戦略的曖昧性」を打ち出し綱渡りをする政府の責任は大きい。政府の明確な態度表明が必要な時期に入っている。韓国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入問題も同様だ。

 米国と中国はこの二つの事案をめぐり、次官補級の官僚がソウルで公開的に相手を牽制する発言をする事態にまで至った。発言内容も以前より直接的だ。サード問題に関連して劉建超(リュ・ジェンチャオ)中国外交部部長助理(次官補)が16日に「中国の関心と憂慮を重視して欲しい」と述べると、ダニエル・ラッセル米国務省東アジア・太平洋次官補は17日、「まだ配備もされていない安保体系を第三国(中国)が強く言及するのは不思議だ」と正面から受けて立った。アジアインフラ投資銀行問題でも劉部長助理は韓国の参加を促したが、ラッセル次官補は同銀行の支配構造と透明性などを問題視した。

 こうしたなかアジアインフラ投資銀行加入問題では米国が国際的に孤立する様相を呈し始めた。英国に続きフランス、ドイツ、イタリアも加入の動きを見せ、米国内でも加入を促す声が上がっているためだ。韓国も加入を先送りする理由はない状況に置かれる。これ以上、米国の顔色を伺い続ければ、同銀行内での発言権低下をはじめ国益の侵害が予想される。過度な中国主導の支配構造などの問題点は参加してから変えていくのが現実的であろう。

 サード問題は均衡外交と北東アジア平和の原則にしたがって迅速に決断を下す必要がある。中国はサードの韓国配備が「韓国の安保の必要性をあまりに過度に逸脱」し、自国の脅威になると考えている。サードが配備される場合、韓中関係が根本的に変わるという展望が出されるほどだ。政府にしても米国が中国を狙って構築する東アジアのミサイル防御(MD)体系には参加しないと表明しているし、北朝鮮の脅威に対しては韓国型ミサイル防御(KAMD)体系を開発している。MDの一部と看做されるサードを配備するのは、この原則から外れる。サードが北朝鮮のミサイル脅威に効果的に対応できるという主張も全く検証されていない状態だ。 サード配備を前提とした場合、既存の国防計画が大きく変わることは言うまでもない。

 政府はサード配備の反対意思を明確にさせ、無益な葛藤を終息させることを望む。戦略的曖昧性とは、米国がサード配備を押しつければなす術もなくついていく日和見主義的態度にすぎない。国防部は17日「我々(韓国)の国防安保政策に(中国が)影響力を行使すべきではない」としたが、なにより急がれるのは葛藤を生む余地をなくすことにある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.17 18:39

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/682629.html 訳Y.B

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