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[寄稿]オバマが作ったキューバへの架け橋、北朝鮮との橋は誰が作るのか

登録:2014-12-25 10:33 修正:2014-12-25 12:59
23日(現地時間)キューバの首都ハバナにあるコーヒーショップで市民がフィデル・カストロ前国家評議会議長の過去の資料映像を紹介するテレビを観ている。今月17日、キューバと米国は半世紀間の対立を終わらせ外交関係を正常化することで合意した。ハバナ/ロイター連合ニュース

 「過去に戻る橋は必要ありません。必要なのは未来に行く橋です。私たち誰もが21世紀に向かう橋の建設に参加しましょう」

 1996年8月米国シカゴでビル・クリントン大統領が再選候補指名受諾演説で打ち出したモットーだ。だが、わずか90マイルしか離れていないキューバへの橋も作れず未来に向かう橋などかけられるかと批判された。第1次クリントン政権でも対キューバ封鎖政策が継続されたが、人権と開放になんの進展もなかったことに対する不満だった。朝米ジュネーブ合意など進歩的な対外政策を推進したクリントンも、国内政治と直結した対キューバ政策には手をつけられなかった。ところが、オバマ大統領が執権最後の2年の代表プロジェクトとしてキューバとの関係正常化を掲げ施工段階に入った。

 1959年の米企業没収後のピッグス湾侵攻失敗、キューバミサイル危機、ラテンアメリカ反米主義旗手など数えきれない懸案を作りだしたキューバは米国の喉元にひっかかった骨のようのものだった。今後の外交関係回復には迂余曲折を経ねばならないだろう。特に相手の屈服を成功の基準と考える米議会の現共和党指導部が素直に受け入れるか見守る必要がある。

 米国とキューバの間で繰り広げられるドラマを見て、我々韓国の期待は当然朝鮮半島問題の一つの軸となる朝米関係に注がれる。キューバと北朝鮮は長期独裁政権と世襲、制裁と孤立の苦痛、反米戦線連帯など多くの要素を共有している。しかし、彼らが米国との関係改善をめぐって越えねばならない難関の差は顕著だ。

 第一に、キューバは米国の侵攻を憂慮しソ連の核ミサイルを誘致したことがあるが、すでに半世紀も前のことだ。一方、北朝鮮は体制維持のため核の欲望にとらわれている。その欲が無駄であることを悟らせるには粘り強い交渉と長い時間が必要だ。米国の外交政策はそうした集中と忍耐に馴染まない。

 第二に、現在米国がキューバと合意している関係正常化やイランとの間で進行中の核交渉を、すでに北朝鮮とは2度も妥結したことがある。1994年のジュネーブ合意と2005年の6カ国協議での9・19共同声明だ。しかし履行で失敗した。ぶり返した傷のようにその治癒は難しい。今の朝米間で広がる前代未聞のサイバー戦争はその断面の一つだ。

 第三に、キューバは対米関係正常により開放しても政権自体に致命的危険を感じることはない。一方の朝鮮半島には相反する価値体制が対立している。その片方を主体思想、先軍政治、核と経済並進政策で掌握している北朝鮮は、米国との修交と開放がもたらす政権破壊の危険を恐れてきた。過去に米国が修交しようとすると北朝鮮が逆に後退した歴史がそれを物語る。

 そして、これらのすべての差より核心的な問題がある。米国の対キューバ政策は米国だけで決めることができるが、対北朝鮮政策は同盟国の韓国と共に決めなければならない。問題は韓国の意志と能力だ。任期5年の政権ごとに対北朝鮮政策がぶれ政策の形そのものが見えない。そのうえ歴史を逆戻りさせる北朝鮮政権に分別を失った人々、権力維持のため過去に戻る橋をかけるのに没頭する人々のために国は揺れている。これでは韓国にできることなどない。

 朝鮮半島の未来に向かう橋の決定的な障害は北朝鮮の核にある。現実的可能性が希薄な北朝鮮崩壊や武力行使でもしない限り、北朝鮮核問題のいかなる解決にも朝米関係の改善は不可欠の要素だ。しかし米国は今起きているような北朝鮮の核やサイバー脅威下にあっては決して交渉をしないだろう。北朝鮮も体制と政権に対する脅威を感じる限り無茶な行動を続けるだろう。結局朝鮮半島は冷戦の残存地域に残ることになる。

ソン・ミンスン慶南大学客員教授//ハンギョレ新聞社

 オバマ大統領はキューバへの架け橋を作れても朝鮮半島の未来に向かう橋を架けることはできない。ただ韓国が作るのを助けることができるだけだ。90年代に韓国がキューバとの関係改善を模索した頃、米国は自国の対キューバ政策を韓国が尊重することを要請してきた。韓国の対北朝鮮政策を米国が尊重するのと同じということだった。

 北朝鮮に核放棄と彼らの生存のための開放の道を説得力をもって見せ、米国の手を引いて交渉を成功させられる国は韓国しかない。今の北東アジア情勢は分断70年を際限なく広める勢いだ。南北関係だけを見て時間は韓国側に有利だと安易な考えに浸っていてもいいのだろうか。朝鮮半島の未来の架け橋に対する主人たる意識と所有権の行使がより一層切実になる。

ソン・ミンスン 元外交部長官・慶南大学客員教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.12.24 21:36

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/670674.html 訳Y.B

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