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[コラム] 恥知らずな韓国軍首脳部の“朴正煕チルドレン”

登録:2014-11-03 21:22 修正:2014-11-04 07:51
キム・ジョング論説委員

「敵と戦って勝つ道は単に兵力の数や装備の優劣にだけあるわけではない。戦勝の要諦は軍の精神戦力にある。すなわち、厳正な軍規、旺盛な士気、そして必勝の信念にある」。 「自国の国防を他人に依存してすんだ時代はすでに過ぎ去った。 自分の領土と自分の祖国は自分が守らなければならず、自分の運命は自分自身の力で切り拓いていかなければならない」。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が1974年3月29日の陸軍士官学校第30期卒業式と1977年3月29日の陸軍士官学校第33期卒業式で行った演説の一部だ。 ハン・ミング国防部長官は陸軍士官学校31期で、キム・ヨハン陸軍参謀総長は陸軍士官学校34期なので、士官学校生時期に先輩の卒業式でこの話を直接聞いたはずだ。 彼らだけではない。 キム・クァンジン国家安保室長など70年代に初級将校生活を始めた前・現職の軍首脳部は、全員自主国防の洗礼を受けて成長した世代だ。だからこそ本当に逆説的だ。 朴正煕の娘が大統領である時代に、“朴正煕チルドレン”によって自主国防の翼が無惨に崩れたということだ。

 戦時作戦統制権の移管計画放棄に関して、わが韓国軍は「韓国軍が未だ北朝鮮の威嚇に主導的に初動対応する能力がないため」と説明する。 北朝鮮に比べて30倍をはるかに越える国防費に最先端兵器で武装した韓国軍が、自ら虚弱な軍隊であることを今も自認するなら、その原因は何だろうか。 まさに「厳正な軍規、旺盛な士気、必勝の信念」等の精神戦力で北朝鮮に到底かなわないという話にしかならない。 もっとも銃器乱射、兵営内苛酷行為、師団長まで加わったセクハラ、防衛産業不正疑惑などがぞろぞろ続いている状況で、どうして厳正な軍規や旺盛な士気、必勝の信念を語ることができようか。

 ところで、本当に分からないことがある。 そのような話をする軍の態度だ。 まともな精神の軍首脳部ならば、恥ずかしくて顔が上げられないのが正常なはずなのに、まったくそんなそぶりもない。むしろ失った領土を取り戻し大きな戦功でもたてたかのように意気揚揚としている。 そして、かろうじて出る言葉が「北朝鮮の威嚇が深化」している状況であり戦作権の移管は“時期”でなく、韓国軍の対応能力などの“条件”が重要だということだ。 しかし、断じて言うが、恥を知らない軍にその条件が充たされる日は決して来ない。 そして永遠に他国の軍隊の懐の中で甘えん坊として過ごす運命から抜け出すことはできない。

 最も恥を知らない人はキム・クァンジン安保室長だ。 彼が合同参謀議長在職時期に戦作権移管のための戦略的履行計画に署名した当事者であったが、今回は自身の手でそれを破棄したという一つの理由のためではない。 彼は李明博(イ・ミョンバク)政権時期には戦作権の移管が予定通りに進行されると言い、上部指揮構造の改革を内容とする国防改革を至上課題として掲げた。 国防改革に「(長官の職のみならず)魂をかける」という話までした。 しかし、彼は長官職から退かなかったのみならず、朴槿恵(パク・クネ)政権になってからは国防改革問題は全く口にしたこともない。

 キム室長は今回の戦作権移管放棄に関して「大統領の指示」だと説明した。 軍人が軍の統帥権者の意に従うのは当然の義務だ。 だが、一介の将軍でもなく、一国の安保政策に責任を負う人が、政権が変わるたびに以前の行動を自ら否認し、“大統領の意向”という言葉一つで正当化することが果たして正しいと言えるか。 それは「魂をかける」人ではなく「魂がない」人の表象だ。

 彼が国防長官時期に掲げたスローガンは、「戦えば勝つ戦闘型強軍」だった。 だが、実際に現れた現実は「戦うことに恐れをなす絵に描いた虎の軍隊」になった。 そうかと言って、彼が外交安保分野に対する広い視野と柔軟な戦略的思考で朝鮮半島の平和定着に卓越した能力を発揮することを期待することも難しく見える。 他のすべてのことをさておくとして、自身の手で署名した戦作権移管計画を自ら白紙化するなら、少なくとも席から退くことが道理であり常識だ。 彼にこのような質問を投げてみる。 韓国に果たして真の武人がいるのか。 ただ権力の風が吹くままに政治論理に従って動く出世指向主義者だけではないのか!

キム・ジョング論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/662683.html 韓国語原文入力:2014/11/03 18:41
訳J.S(1907字)

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