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朴大統領施政方針演説、戦作権やセウォル号に言及なし

登録:2014-10-30 00:18 修正:2014-10-30 07:36
10月30日 漫画//ハンギョレ新聞社

公務員年金の年内処理を強調
与党内部ですら「あまりに経済の話ばかり」と酷評

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は29日午前、国会で来年の予算案に対する施政方針演説で「今こそ韓国の経済が跳躍するか停滞するかの別れ目であり、経済を再び立て直せる最後のゴールデンタイム」と訴えた。

 毎年、国会を直接訪れ施政方針演説をするという大統領選挙の公約に則り、この日国会を訪問した朴大統領は、演説内容の大部分を予算案説明と経済再生のための関連法案処理を促すことに割いた。37分間続いた演説中、“経済”という単語が59回で最も多く言及されるほど精魂を込めた。演説文の全体基調も、最近まで国会法案処理遅延に対して見せた研ぎ澄まされた刃のような態度は自制して、法案処理が切迫していることを伝えようとすることに焦点が合わされた。 だが、政界では朴大統領が本人が言いたいことだけを言って、国民が大統領から聞きたい国家的懸案であるとか国政全般に対する構想はなかったと評価された。 朴大統領は演説直後に与野党代表と会った時も、改憲問題や戦時作戦権、北朝鮮向けビラなど野党が意見を出した部分に対しても特別な言及をせず、敏感な懸案を避けて通った。

 朴大統領はまず来年度の財政拡大方針を明らかにし「政府は来年度国政運営の最優先目標を経済活性化に置いて、予算も今年より20兆ウォン(約2兆円)増やして編成した。 韓国の経済、財政条件が非常に厳しい状況でも果敢で先制的な対応で経済を活性化するため、やむをえず拡大編成した」とし「ぜひ来年度予算案が経済活性化の呼び水となり、国民幸福の踏み石として役割をつくせるよう法定期限(12月2日)内に処理することを丁重にお願いする」と注文した。 朴大統領はまた、中国、ニュージーランド、ベトナムとの自由貿易協定(FTA)交渉批准同意案処理も付託した。

 朴大統領は、予算案の他に政府が推進中の「公務員年金改革」に対する年内処理も繰り返し強調した。 朴大統領は「公務員年金を今回もまともに改革できなければ、次の政府と子孫に途方もない借金を譲り渡し、大きな荷物を背負わせることになる」として「切迫した心情で必ずやり遂げなければならない」と話した。 同時に公務員たちには「子孫のためにぜひ少しずつ犠牲と譲歩をお願いする」と訴えた。 これと共に朴大統領は、国民基礎生活保障法案と住宅市場正常化法案、不正腐敗根絶のためのキム・ヨンナン法、ビョンオン法、政府組織法案などを一つ一つ取り上げて早急な処理も要請した。

 しかし、朴大統領は演説で政局の主要イシューである戦時作戦権移管延期やセウォル号特別法などに対しては徹底的に沈黙した。 セヌリ党内部からすら「あまりに経済の話ばかりした」という酷評が出てくるほどであった。 セヌリ党のある再選議員は「大統領は大きな構想とビジョンを話すべきであった。 どこに何千億の予算を使うという詳しい話は長官が説明すれば良いこと」と話した。 セヌリ党の別の関係者も「国民を直接相手にする国会に来たら、戦時作戦権や南北関係、セウォル号事件などの安全問題、また経済民主化や福祉など全般的な国家懸案の話をほどほどするべきだった」と残念がった。

 ハン・ジョンエ新政治民主連合の代弁人も論評で、「戦作権移管、セウォル号、資源外交国富流出など国民が聞きたく気がかりな部分に対して全く言及しなかったのは非常に残念だ」として「自由貿易協定も農畜産業などの被害産業に対する実質的な代案も用意せずに国会批准同意処理だけを注文したことは遺憾だ」と明らかにした。 イ・ソクヒョン国会副議長は「大統領自ら釘を刺した改憲議論に対する“解禁”がなかったし、当事者である公務員たちとの対話を排除したまま国会処理期間にまで釘を刺せば与野党関係は梗塞せざるをえない」と憂慮した。

 一方、朴大統領との出会いを期待して国会本館入口に席を占めて待っていたセウォル号遺族は、警護員に囲まれた朴大統領が遺族側に目もくれずに建物の中に入ってしまうと深刻な失望感を表わした。

ソク・ジンファン、ファン・ジュンボム、イ・セヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/662107.html 韓国語原文入力:2014/10/29 22:30
訳J.S(1998字)

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