登録 : 2014.10.20 23:27 修正 : 2014.10.20 23:56

 京畿道城南(ソンナム)市の板橋(パンギョ)テクノバレー祝祭の会場で17日に起きた換気口崩壊事故は、我々の社会の不均衡な発展による‘基本の遅滞現象’が生んだ惨事といえる。事故が韓国版「シリコンバレー」と呼ばれる先端地区で韓流スターのガールズグループの公演中に発生したことは、さまざまな面から示唆するものが多い。板橋テクノバレーは我が国(韓国)を代表する情報技術(IT)やバイオテクノロジー(BT)の会社など870余の企業が集まる先端産業象徴の場だ。そこで世界的に人気を呼ぶガールズグループが華やかな公演を繰り広げていた。このように最も先進的な社会の幸せな日常が最も後進的な事故によって一挙に崩れ落ちたのだ。表面的には世界的な成功を遂げた分野は多いが、市民の安全や自由などの基本がきちんと保証されていない我々の社会の限界を悲しく見せつけた事故だ。

 特に安全面の脆弱性はセウォル号の惨事であまりにも大きな代償を払って知ったものであるだけに、今回亡くなったりけがをされた方の犠牲が一層身にしみる。セウォル号の惨事以降、大勢が集まる公衆利用施設の安全に対する不感症に対する警鐘は鳴り続けていた。公演会場での事故は以前からも頻発してきたものなのに、今回の現場には安全担当の係員は一人もいなかったし、警察・消防機関は事前安全点検の要請も断っていた。観客が2、3千人集まると予想されていた行事としては安全対策は皆無だったと言えよう。

 一部では換気口の上に上ったのは不注意な行動だったとして、被害者に責任を転嫁する声も出ている。いわゆる「合理的な個人」の責任を強調するものだが、これは危険で無責任な発想だ。私たちの周囲に潜んでいるあらゆる危険を全て把握して行動している合理的な人間というのは、理念上のことにすぎない。換気口だけでも都心のあちこちに簡単に上ることができる形で設けられており、最初から歩道のように使われている所も多い。形そのものを水平でなく垂直に設置するか、一目で分かる注意書きを表示しておくなど、事前に講じる安全対策はいくらでもあるのに、これを無視したまま被害者の不注意のせいにするのは本末転倒である。先進国では道路工事や滑りやすい地面など、我々が思うには‘ささいな’危険カ所でも大げさに思えるほどの注意書きをして立ち入れないようにしている。有名な‘マクドナルド コーヒー訴訟’で示されたように警告の義務を怠った側に重い責任を問うためだ。

 今回の事故はセウォル号による教訓を考え直すようにする。誰もが予想できる危険より、誰も予想できない危険の方が実は大きな危険だ。無意識に積もり積もった無数の要素が重なり合ってセウォル号という悲劇を産んだ。今回の事故も公的な広場の安全点検規定や換気口の設備基準さえない死角部分で発生した。

 セウォル号の事故以降、政府はこのような死角を見つけて事前対策を整備することにまい進すべきだった。セウォル号事故の遺族らの真相究明の求めにはこのような安全な社会についての思いが含まれている。遺族をないがしろにするのに汲々としている政府が果たして国民の安全確保という任務を真剣に進めているのか疑問を抱かざるをえない。政府と政界は今回の板橋の惨事の収拾に最善を傾ける一方で、国民の安全など国の基本を整える最後の機会という覚悟で汗と知恵を絞るべきだろう。重たい気持ちで犠牲者の遺族にお悔やみ申し上げるとともに、けがされた方の回復を願いたい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/10/19 18:35 

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/660402.html 訳T.W(1540字)

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