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真相究明を求める遺族がセウォル号特別法で利権を狙う?

登録:2014-09-09 22:15 修正:2014-09-10 09:41
特例入学・税金減免・義死者指定など政界での議論を遺族主張と歪曲

特別法交渉が長引くと悪質なうわさが猛威
遺族草案は真相究明に焦点合わせ
補償など具体内容は後回しに

パク・ヨンソン新政治民主連合院内代表(左)とイ・ワング セヌリ党院内代表がセウォル号特別法合意文の発表に先立ち握手している。//ハンギョレ新聞社

 7・30再補欠選挙を起点にカカオトーク、ツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等を通して急速に拡散し始めたセウォル号特別法を巡る悪質なうわさが秋夕(チュソク・中秋節)連休中にも猛威を振るった。セウォル号特別法交渉が停滞状態に入り込む中で、ますますその勢いを増している。「亡くなった子供たちを使って金儲けをしようとしている」「電気料金も払わない」「大学に特例で入る」など、感情的な発言と確認されていない内容が入り乱れ、うわさが拡大再生産され疲労困憊している遺族たちをより一層疲れさせている。

 これら悪質なうわさを調べてみると、セウォル号家族対策委員会が要求するセウォル号特別法草案には含まれていない内容が大部分だ。 セウォル号家族対策委が作成し7月9日に立法請願した「4・16惨事真実糾明および安全社会建設等のための特別法」には特例入学、電気料金など公課金および税金減免、被害者全員義死者指定などの要求はない。 概して真相究明に焦点を合わせた内容ばかりだ。 対策委の法案は、大韓弁護士協会に依頼して草案を作り「民主社会のための弁護士会」(民弁)の意見を加えて完成した。

 飛び交う悪質なうわさの中には「公務員試験加算点」とか「遺族生活安定生涯支援」のような根拠が全くないものもある。 だが、一部のうわさは与野党議員が発議した法案に基づいて事実として糊塗している側面が大きい。 京畿道安山(アンサン)選挙区から当選した新政治民主連合のチョン・ヘチョル、プ・ジャヒョン議員が7月に共同発議したセウォル号惨事真相究明および被害者支援等に関する特別法案には、生活支援金、心理相談支援、公共料金減免、教育費支援、追悼事業および義死者優遇などの内容が含まれている。 大学特例入学の場合、ユ・ウンヘ新政治連合議員とキム・ミョンヨン セヌリ党議員の代表発議案を併合審査して「セウォル号沈没事故被害生徒大学入学支援特別法案」を国会教育文化体育観光委員会が議決した。 だが、この法案はセウォル号交渉過程で事実上原点に戻ったり保留されている状態だ。 このような懸案に対しては遺族が先に立ち上がって「議論を先送りしよう」とも言っている。

 このうち義死者指定問題の場合は論議となり「国民安全義人」として考慮されたが、支援・補償についてはまだ何も決まっておらず、家族が特に“義死者認定”を要求したこともない。 各種公課金および税金減免もまた、現在まで議論されてもいない。 両親が犠牲になった一部の一般人遺族たちが相続税の軽減などを要求したことはある。 チョン・ヘチョル議員は「事故以後、檀園高の生徒だけでなく、一般人犠牲者家族の要求と西海(ソヘ)5島特別法法例まで考慮して作った法案だ。 セヌリ党や関係部署の協議などが必要だという前提で総論を集約したものなのに、これを過度な恩恵を与えるかのように歪曲するのは遺憾」と話した。

 大学特例入学論議の場合、2010年の延坪島(ヨンピョンド)砲撃直後に「西海5島支援特別法」での“定員外”大学入学資格を与えた前例に従い議員法案が作られたが、これも特典論議が起こるやすぐに家族対策委で「該当する生徒や家庭には必要なことかも知れないが、真相究明の障害になるならばこれを先に処理することはできない。中止してほしい」と要求した。

 賠償・補償についてはまだ何も決まっていない。 遺族たちが用意した法案の第37条(被害者および遺族支援) 1項には、4・16惨事被害者および遺族に対する政府の、補・賠償金支給、生活支援および医療支援、精神健康治療のためのトラウマセンター設置および運営、教育支援・心理相談・介護などサービス支援、檀園高教育正常化支援などの原則が規定されているだけだ。

具体的な内容と手続きは2項で“大統領令で定める”とされている。 セウォル号特別法交渉自体が空転している状態で、賠・補償の議論をするまでにはまだ多くの手続きが残っている。 「補償と賠償は今後議論する問題」だというのが家族対策委の公式な立場だ。 それでも「他の事故で死亡した遺族、殉職者、義死者、国家有功者、6・25参戦有功者の待遇や補償とは比較にならない特級補償」、「遺族生涯補償」など、全く根拠のないうわさが悪意的に広がっている。 ユ・ギョングン セウォル号家族対策委スポークスマンは9日「補償と賠償は真相究明の後に全国民が共感できる水準と内容にしたがって進行される問題であり、家族が先に立って主張したり一部政界で主張してできることではありません」と話した。

ハ・オヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/654559.html 韓国語原文入力:2014/09/09 21:18
訳J.S(2182字)

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