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[社説] いい加減な民間潜水士採用が招いた悲劇

登録:2014-05-06 23:39 修正:2014-05-07 06:28

 セウォル号事故海域で捜索作業をしていた民間人潜水士1人が亡くなる残念な事故が起きた。民間救難業者ウンディーネ マリン インダストリーの臨時雇いであるイ・グァンウク氏が6日、作業中に意識を失って倒れヘリコプターで病院に搬送されたが亡くなった。セウォル号沈没事故で衝撃を受けている国民に対し、行方不明者救出の知らせの代わりに、捜索隊員の死亡という悲しい便りが舞い込んだのだ。

 正確な事故原因の調査が必要だが、捜索作業においても鈍い安全意識が深刻なレベルにあることがさまざまな状況から確認されている。イ氏は同社に臨時採用されてから最初の潜水作業、しかも潜水してわずか5分で意識不明になったという。彼は現場適応のための過程もまともに踏まずに事故海域に投入されたという。 二人一組になって捜索作業を行っているという海洋警察の発表とは違い、その原則も守られていなかった。空気供給の管が別の管とからまったのをイ氏が収拾しようとしたと推定されるという海洋警察の説明を考慮すれば、相方さえいたならば死亡にまでは至らなかったという無念さを禁じえない。その上、救助チームの本部があるバージ船には応急救助士以外には医療スタッフもいなかったというのだから舌打したくなる。

 民間潜水士の運用方法が全くいい加減だという事も今回の事故を通じて明確になった。亡くなったイ氏の‘所属’が正確にはどこか分からないことからしても問題だ。海洋警察の関係者はイ氏について "ウンディーネ マリンが臨時採用した民間潜水士" であり、"正式契約をしたものでなく口頭契約をした状態と聞いている" と話した。実際、セウォル号の船主である清海鎮(チョンヘジン)海運と独占契約したウンディーネ マリン社は正規職員はごく少数で、ほとんどはイ氏のように臨時採用された人々だと知られている。しかし同社は "海洋警察の民間潜水士動員令によりペンモク港に来て同社に配属された潜水士" と異なる言い方をした。いかに災難収拾で気持ちに余裕がないとは言え、万事がいい加減になっている。 特に捜索・救助作業を総括指揮する海洋警察は、同社に潜水士の人事管理を受け持たせ事実上放置しておきながら、事故が起きるや責任回避に汲々としているという批判は免れ難い。

 問題は潜水士が亡くなる悲劇が再び起きかねないという点だ。イ氏の直接的な死因は今のところ潜水病とは関係がないように思われるが、他の潜水士は連日続く救助作業でマヒなどの深刻な潜水病の症状を訴えている状態だ。チョン・ホンウォン国務総理は、イ氏の死後、「事故が再発しないよう、潜水士の健康管理と安全に格別な気づかいをしてもらいたい」と海洋警察庁長官に指示したというのだから、無責任ここに極まれりという感じだ。これまでは安全に最善を尽くさなかったという話なのか。また民間潜水士の運用を事実上他人任せにしている海洋警察が、果たして何の役割を担えるのかも心配になる。後進国型惨事の典型であるセウォル号の沈没事故だが、その収拾も後進国型を抜け出せずにいるのだから、実に遣り切れない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/635778.html 韓国語原文入力:2014/05/06 19:16
訳T.W(1394字)

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