韓国歴代最悪の海洋惨事であるセウォル号沈没事故を収拾しなければならない韓国政府当局が民間企業‘ウンディーネ マリン インダストリー’(ウンディーネ)だけに頼り切る理由は、費用削減のためだったのではないかという批判が提起されている。
民・官・軍が協力する汎政府事故対策本部は捜索・救助作業を民間業者であるウンディーネを中心に運営してきて多くの批判に直面した。 自発的に事故現場を訪れた数百人の民間潜水士の投入を阻み、ウンディーネに雇用された民間潜水士を中心に作業してきた。 これまで船内捜索作業を支援してきた‘2003錦湖(クムホ)バージ船’を23日にウンディーネが運営している‘リベロ バージ船’に交替し、貴重な小潮期(潮流が弱まる時期)に捜索作業をきちんとできなかった。 海洋科学技術院の推薦を受けた大型バージ船である現代保寧(ポリョン)号は‘捜索作業に邪魔になる’という理由で22日から3日間待機させられていたが撤収した。 多くの専門家たちは「バージ船を船の両側に設置して作業をすれば、救助作業の速度がよる速まるだろう」と提案したが、受け入れられなかった。 イ・ジョンイン アルファ潜水技術工事が提案したダイビングベル投入、UDT同志会が提案したモグリ船投入、クレーンによる船体引き上げ後の救助など、多様なアイディアは全て無視された。
これに対して事故対策本部が民間人材と装備の投入および専門家たちが提案した救助方法を拒否して、ひたすらウンディーネだけに頼ったのは、結局費用問題のためではないかという批判が出て来ている。
これまでに知らされた通り、ウンディーネは政府ではなく事故船のオーナーである清海鎮(チョンヘジン)海運と契約した救難業者だ。 詳しい契約内容は明らかでないが、作業過程でウンディーネが発生させた費用は契約主体である清海鎮海運が負担することになる。 反面、ウンディーネを経ずに投入された装備と人材に対しては政府が実費を補償しなければならない。 この過程で実務部署と予算当局は予算を協議しなければならない。 もちろんこれに対する費用はやはり原則的に事故を起こした清海鎮海運が負担しなければならないが、これは政府が今後清海鎮海運に求償権を請求するなど複雑な法的手順を踏まねばならず、清海鎮海運にすべての費用を負担させられるかも疑問だ。
実際、海洋警察庁をはじめとして政府と政界が構想した民・官・軍水難救護協力体系は、費用の削減を目的に構想されてきた。 2011年10月に開かれた国土海洋委員会法案審査小委に、政府と政界のこのような態度を垣間見ることができる。 イ・ビョンソク セヌリ党議員(現 国会副議長)が代表発議した水難救護法全面改正案に含まれた民間海洋救助隊設置について、キム・ジンエ前議員は「水難救助がいつも起きることではないため、窮極的に公共がしなければならない」と指摘した。 これに対して、イム・チャンス海洋警察庁次長は「年間継続的に発生するものではないので、装備を保有していることで多くの費用がかかる」として、費用の削減を理由に挙げて民間海洋救助隊の設置を主張した。 イム次長は「民間とのネットワーキングをうまく作っておけば、予算も節減でき、むしろ海洋警察が装備を持つより有効に対応できる」と話した。 これに対してチャ・ミョンジン セヌリ党前議員は「国家が全てできれば良いが、そうすれば我が国は海洋警察国家になってしまう。 全てに海洋警察が備えていなければならなくなってしまう」という論理を繰り広げもした。 この論議に対して、キム・ジンエ前議員を除けば野党もやはり特別異議がなかった。
国家危機管理学会の元会長であるイ・ジェウォン忠北(チュンブク)大教授は、水難救護で民間部門との協力は救護の迅速性のためのものであって、費用削減を目的としてはならないと指摘した。 イ教授は「民間部門の資源と連係するのは、危機管理ガバナンスの原則だ。 災難現場には常に政府より民間がより近くにいる。 今回の事故でも、周辺の漁船が先に現場で救助活動を始めた。 それで民間部門との協力が重要なのであって、費用の問題ではない」と説明した。 イ教授は「政府に予算がないならば、民間はいつも発生するわけでない水難救助に対してもっと予算がないのではないか?」として「政府が金がないためだと話すのは有ってはならないことで、論理的に納得できない」と指摘した。
ホ・スン記者 raison@hani.co.kr