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[編集局から] 誰が‘政権不不服従’を煽ったのか/キム・ジョンチョル

登録:2013-11-27 20:11 修正:2013-11-28 06:52
キム・ジョンチョル政治部記者

 パク・チャンシン神父がミサで行ったスピーチを巡り大騒ぎだ。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は 「混乱と分裂を引き起こす行動」と言い、チョン・ホンウォン国務総理は「大韓民国を破壊し敵に同調する行為」と話した。 また、ファン・ウヨ セヌリ党代表は 「北の対南闘争指令が通達された以後、大統領選挙不服従が活性化している」として北韓連係説を提起した。 党・政府・大統領府の最高首脳による合唱の後、下部単位はほとんど総決起ムードだ。 検察は直ちに捜査に入り、与党は連日‘従北清算’を喚いている。

 もちろんパク神父の発言中の一部は誤りだ。 北韓の延坪島(ヨンピョンド)砲撃を独島(ドクト)防御と比較して 「NLL(北方境界線)問題がある土地で韓-米軍事訓練を継続すれば北としてはどのようにしなければなりませんか? 撃たなくちゃ」と言ったことは適切な比喩ではない。 我が国の領土に大砲を撃ち民間人にまで被害をもたらした北韓の軍事挑発の肩を持つことのように映るためだ。

 しかし大統領までが乗り出して 「容認しない」とか「あなたの祖国はどこか」(イ・ジョンヒョン広報首席)と尋ねるなど、政権全体が真っ赤になって怒らなければならない事案か否かは疑問だ。 パク神父の問題になった発言は、北韓を敵対視し韓国で政治的反対者を従北に追い立ててはならない、南北が対話と協力をしなければならないという点を強調しながら出てきた。 しかもスピーチの全体的内容は大統領選挙不正と政権の誤った処理を糾弾するということだった。

 政権担当者がこのような事実を分からないはずがない。 それでもパク神父が属した正義具現司祭団までを従北だとして攻撃するなど、過剰対応には他の目的があると見なければならない。 国家情報院など国家機関による大統領選挙介入事件、与党の用語で言えば‘大統領選挙不服従’を静めようとする意図だ。 今回の機会に目障りな天主教正義具現司祭団の力を抜きたかったのかも分からない。 全州教区司祭団が初めて掲げた朴大統領退陣要求が全州を越えて全国に、また天主教だけでなくキリスト教や仏教など宗教界全体に広がることを予め防ぎたかったのだろう。

 だが、朴槿恵政権のこのような対応こそ、見当外れの足蹴りだ。 共産主義とは生まれつき似合わない聖職者を従北主義者に追い立てることに誰が共感するだろうか。 政府が公安政局を作れば市民が口を閉ざし静まる時代も過ぎた。

 即自的な反発よりは、私たちの社会の一部からとは言え政権退陣要求が出てきた理由をよく見なければならない。 全州教区司祭団が出した時局宣言文に見られるように、神父たちはこの政権が大統領選挙介入事件などを処理する方式を見ながら政府に対する基本的信頼まで失った。 "この事態の直接的で総体的な責任を負っている大統領は、自身と何の関係もないとして大統領府の後に座って" いて、 "警察と検察は国家情報院をはじめとする国家機関の大統領選挙不法介入を確信をもって捜査した担当者を職務から排除させ、証拠をでっち上げ隠滅しようとする試みをし" たことに対して怒り始めたのだ。 民主主義と正義を踏みにじる政府に対する主権者としての抵抗だ。 あえて問い詰めるならば大統領選挙不服従ではなく‘政権不服従’宣言だ。

 大統領選挙不服従という言葉さえ出てくれば縮こまる野党の雰囲気や憲政混乱を憂慮する国民感情から見る時、宗教界の一部による大統領辞退要求が直ちに波紋を起こしそうではない。 だが、その大きさが問題なのではない。 スタートして1年にもならない政権が、純粋に自分たちの過ちのために社会の光であり塩である聖職者から全面的な無視を受けることになったという点が核心だ。 信頼が一度崩れ始めれば支持率下落など急激な墜落は時間の問題だ。

 国家情報院選挙介入事件などに対して朴大統領が一度でも "容認できない" と激怒して、真相糾明を陣頭指揮していたならばどうだっただろうか。 多くの人々が喜んで朴政権に拍手を送っただろう。 今からでも遅くない。 解決法は依然として朴大統領が握っている。

キム・ジョンチョル政治部記者 phillkim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/612971.html 韓国語原文入力:2013/11/27 19:17
訳J.S(1865字)

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