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[土曜版 親切な記者たち]その方を‘チョン氏’と呼んではいけませんかって?

登録:2013-07-19 20:32 修正:2013-07-20 09:12
ソン・ギョンファ経済部政策金融チーム記者

 親切であろうと努力する記者、<ハンギョレ>経済部ソン・ギョンファです。 今年の初め‘クレジットカード無利子分割払い、しなければあなたも損~’を書いた後、2回目の登場ですね。 今日は全斗煥(チョン・ドゥファン 82)元大統領の話をしてみようかと思います。 この間、社会部や政治部に移ったのかですって? そうではありません。 まだ経済部にいます。 ところが34日間続けて全元大統領関連の取材をしています。 ハンギョレが経済部、社会部記者たちを集めて‘全斗煥特別取材チーム’を作ったのです。 一ヶ月間ハンギョレに全元大統領の記事が多かったのはその影響です。 今週は検察も押収捜索に乗り出し圧迫を本格化しています。

 全元大統領の記事を書くと、このようなコメントがしばしばつきます。"大統領とは何だ! 前職大統領優遇も剥奪されたんじゃないですか?" 、 "チョン氏に‘前職大統領’という呼称を付けないで下さい!" 読者の皆様はどう思いますか? ハンギョレをはじめ言論の呼称は概して‘前(元)大統領’です。 もちろん‘軍事反乱首魁’(ハンギョレ7月18日付社説),‘国法と国民に対する反抗’(朝鮮日報7月17日付社説)等の修飾と一緒にですけれど。 法的にはどうなるんでしょうか? 一度おさらいしてみましょう。

 我が国には‘前職大統領優遇に関する法律’という法があります。 1969年1月22日作られたので、朴正熙元大統領の時に作られたわけですね。 前職大統領に現在の大統領報酬の95%を年金として支給して、記念事業を支援して、警護と交通・通信および事務室提供などの恩恵を提供します。 退任後にも威信を維持できるようにしようということです。 1988年2月に退任した全元大統領はこういう‘優遇’を受けてきました。

 そうするうちに1995年、彼に対する捜査が始まるや、この法を改正しようとする動きができました。 内乱罪を犯した人物が国民の税金で年金まで受け取るのはひどすぎないかということでしょう。 それで、その年の12月29日あたふたと法改正が行われました。 ‘禁固以上の刑が確定した場合’警護・警備を除くすべての優遇を剥奪するというものです。 在職中に弾劾で退任した場合や刑事処罰を避けて外国に逃避した場合、大韓民国国籍を喪失した場合にも剥奪対象になります。 改正案の最初の対象者が全斗煥・盧泰愚(ノ・テウ)元大統領になりました。 現在まで初めてであり最後の適用です。

 ところで、この法は‘呼称’問題までは規律していません。 結果的に全元大統領をどのように呼ぶかは社会的合意の問題だということでしょう。 現在の雰囲気は 「大統領の呼称自体も行きすぎだ」のようです。 同意する読者が多数でしょう。 私もそうですが、私の結論はこのようです。 チョン氏が大統領だったこと自体は否めないファクトであり歴史です。 ‘全斗煥元大統領’と呼ぶのが正しいと見ます。 ‘元大統領’と書いても、読者の皆様は各自違って読まれるものと予想します。 ある人はチョン氏、またある人は‘○○’と読まれることでしょう。

 全元大統領本人は、もしかしたら○○を‘閣下’と読むかも知れません。 彼には最も馴染んだ呼称ですから。 これは最近も使われています。 2010年、彼の母校である大邱(テグ)工高の後輩たちは同窓体育大会を開いて‘閣下ご夫妻ご健康祈願’という横断幕をかけて運動場でお辞儀をしたりもしましたね。 全元大統領は手を振って応えましたし。

 アー、私もこの‘閣下’という言葉を肉声で聞いたことがあるんですが。 2009年裁判所に出入りしている時のことですが、ソウル高裁に秘密資金で作った会社を差し出せとして弟と甥を相手に訴訟を起こした盧泰愚(81)元大統領の民事裁判を取材した時でした。 盧前大統領が闘病中だとし、夫の代わりにキム・オクスク(78)氏が法廷証人として出てきましたが、口に染み込んだ言葉のように、夫を‘閣下’と呼び続けたのです。 盧元大統領もやはり、全元大統領と同じく追徴金を一部未納しています。 彼と弟、甥に姻戚までからまった‘秘密資金を出せ’攻防は依然として進行中です。

 一ヶ月間取材しながら接した全元大統領の親戚と側近たちは、彼を‘大人(たいじん)’と呼びました。 ‘うちの大人が…’、‘大人はご存知ないことで…’このような形で呼んだのです。 大人だって…。 その時ふと一つのことを思い起こしました。 5・18民衆抗争ソウル記念事業会の昨年の公募展で賞を受けたソウル延禧小学校5年ユ・スンミン君の‘29万ウォン ハラボジ(お爺さん)’という詩です。 ‘私たちの町内にお住いの/ 29万ウォン ハラボジ/お父さんと聞くラジオでは、毎日29万ウォンしか無いと言いながら/どうしてあんな大きな家に住んでいるのですか?’という内容です。 ここでハラボジという呼称が‘大人’の別の言葉なのでしょうか? これまた各自、違って読まれそうですね。

ソン・ギョンファ経済部政策金融チーム記者 freehwa@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/596421.html 韓国語原文入力:2013/07/19 19:42
訳J.S(2271字)

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