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[響きの広場]カイストの新しい総長に訴えます。学生を信じて下さい

登録:2013-02-27 22:05 修正:2013-02-28 09:48
ピョン・ギュホン カイスト電算学科07年度入学

 今日カイスト(KAIST)では、新入生を迎える“新しい学びの場”とカン・ソンモ新任総長の就任式行事が一緒に開かれる。 6年前の今日“ソ・ナムピョ第1世代”と呼ばれて大学生活を始めた私は、新しいスタートを控えたカイストに今こそ、過去には垣間見られた学生と学校間の信頼が根付いてほしいと思う。

 初めてカイストの先輩に会ったときに感じた最も大きな衝撃は、誰も勉強に特別気を遣っていないように見えるというところにあった。 さらには90年代入学のある先輩は、カイスト人のDNAは“勉強せずに別のことをやる”にあるとまで言った。 皆サークル活動や研究などにまい進していた。 こんなふうでかまわないのだろうかと思って先輩に尋ねれば、返ってくる返事はいつも同じだった。 勉強はやる時になればやると。

 以前のカイストの学事制度は転科や複数専攻、再受講といった再挑戦の機会を最後まで許諾した。 これによって怠惰と放縦をこととする先輩もいたが、多数は失敗を恐れず再起に成功して立派な学者に成長したりした。 それがカイストの学生社会が20年間維持してきたアイデンティティだった。

 だが去る6年間、ソ・ナムピョ総長の改革にはそうしたアイデンティティを支えてきた学生たちに対する信頼が存在しなかった。 既存の学生文化は怠惰という烙印を捺され、低い成績と年次超過、再受講には大きな代価が伴うことになった。 自然と学生たちの間には、基準をクリアするための果てしない競争、いわゆる“無限の非下向競争”が始まった。 カイストは各種の指標において明らかに成長したが、学生を信頼しない学事制度が構成員間の分裂と反目を呼び起こしたという考えは拭えない。

 昨年、世界銀行総裁に任命されたキム・ヨン氏は米国ダートマス大総長として赴任した直後の報道機関とのインタビューで、自分が最近やっていることは数えきれない程の学生に会ってこの学校の歴史を勉強することだと言った。 新しい大学を作ることは容易だが、すでにある大学を変えていくのはその大学の文化の本質と歴史の脈絡を理解し構成員の感動を引き出さなければならないことだったからだろう。 回数だけで見るならばソ・ナムピョ総長もまた、構成員と数えきれない程多くの疎通の機会を持った。 ただ、カイストに受け継がれてきた信頼の文化が何なのかを探求する時間を持ったかどうかといううらみが残る。

 疎通の大家という名にふさわしくカン新任総長は今日も明日も学生代表と何回も懇談会と晩餐をする予定だ。 そのような出会いが単なる出会いに終わらず、お互いの歴史と脈絡を理解しお互いを信じられる場になることを願う。 もう少し欲を出して言うならば、結局は勉強に戻っていくほかない学生たちのDNAを、カン新任総長もまた信じてくれたらと思う。

ピョン・ギュホン カイスト電算学科07年度入学

<ハンギョレ>は毎週一回、地域の主な議題を扱った寄稿を載せます。 igsong@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/575706.html 韓国語原文入力:2013/02/26 21:21
訳A.K(1383字)

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