2015年のイラン核合意を主導したイランの前副大統領が、米国とイラン間の合意を求める寄稿文を米国の有力メディアに発表した。戦争が1カ月を超え、両国の指導部がさらに強硬な態度を示している状況下で出てきたイラン国内の穏健派の声に関心が集まっている。
イランのモハンマド・ジャバド・ザリフ前副大統領は3日(現地時間)、米国の外交専門誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿「イランはどのようにして戦争を終わらせるべきか」で、「イラン国民の相当数は、外交によって戦争を終結させようとする議論そのものを異端視しており、むしろ継続的な抵抗と圧力で戦争を終わらせるべきだと考えている」と指摘した。続けて「このような見解は理解できるが、長期的な敵対行為はイランの貴重な人命と代えがたい資源の損失をさらに拡大させることになるだろう」と主張した。さらに、「イランが報復として周辺国のインフラを破壊したとしても、アラブの同盟国をイスラエル防衛のための盾としかみなさない米国には、さほど意味を持たない」とも指摘した。
ザリフ前副大統領は「イランは、核技術が侵略を抑止できず、むしろイスラエルと米国に攻撃の口実を提供しただけだという事実を認めなければならない」と指摘した。さらに「今回の惨事を、47年間の戦争を終結させる機会にしなければならない」として、「ドナルド・トランプ大統領は、自身の甚大な誤判断を、平和のための恒久的な勝利へと転換する機会にできる」と提案した。
ザリフ前副大統領は、すべての当事国が攻撃を停止した後、恒久的な平和協定に向けた議論を始めようと提案した。ザリフ前副大統領は、イランが「核兵器を決して求めず、保有しているすべての(60%)濃縮ウランを、(2015年の核交渉で)合意した水準である3.67%未満に希釈することを約束しなければならない」と述べた。イランはすべての核施設を恒久的に国際機関の監視下に置くべきだとも付け加えた。イラン・米国・中国・ロシアと周辺国が連合体(コンソーシアム)を構成し、核燃料の濃縮施設を設け、そこにイランのすべての核施設と核物質を移すことを提案した。オマーンとも公式協定を締結し、ホルムズ海峡の安全な通航を保証するよう要求した。
米国に対しては、イランに課している金融制裁やテロ関連の指定などを解除すべきだと提案した。米国には、昨年6月の「12日間紛争」と今年始まった戦争で発生した被害復旧のための補償金の支払いを約束するよう求めた。イランが米国のエネルギー企業を受け入れ、石油とガスの開発を促進するなど、両国が平和をさらに強固にする協力を始める必要があるとも主張した。
イランと米国は恒久的な不可侵条約を結び、湾岸6カ国とイラク・イエメンで中東全域における不可侵・協力・航行の自由を制度化しようと提案した。
ザリフ前副大統領は2013年から8年間外相を務め、2015年のイラン核合意(JCPOA・包括的共同作業計画)妥結を主導したイランの代表的な穏健改革派だ。2024年のマスード・ペゼシュキアン大統領就任後は戦略担当副大統領を務め、翌年辞任した。現在はイランのテヘラン大学で客員教授を務めており、政府内での公式の肩書はない。
これに先立つ1日、ペゼシュキアン大統領が、米国民に向けて「対決の道を歩み続けることは、より大きな費用とより少ない利益をもたらす」というメッセージを出したことがある。ペゼシュキアン大統領やザリフ前副大統領らイランの代表的な対外交渉派が相次いで対話と和解のメッセージを出したのは、戦争を始めた米国とイスラエルだけでなく、さらに強硬姿勢を強めるイラン国内の強硬派に向けても自制を求めたものだとする分析が出ている。