ドナルド・トランプ米大統領はイラン戦争開始から33日目を迎える1日(現地時間)、国民向けの演説で、軍事作戦の成果を強調したが、具体的な停戦計画や交渉の実態、ホルムズ海峡の封鎖解除など、主要争点に対する解決策は示せなかった。むしろ戦争の不確実性を高めただけという批判が高まっている。
今回の演説の最大の問題は、戦争をいつ、どのような条件で終結させるかについて、明確な出口戦略が示されていないことだ。ガーディアンは「軍事作戦が『完了段階に近づいた』と主張しつつ、同時に『今後2~3週間で(イランを)石器時代に戻すレベルの追加打撃』を予告し、停戦と拡大の間の矛盾したメッセージを送った」と指摘した。
特に、交渉が決裂した場合に電力網を同時多発的に打撃するという軍事オプションを提示した一方で、実際の停戦条件や撤兵計画など戦争を終結させる具体的な青写真が示されておらず、米国の戦略的目標が何であるか明確ではないという批判の声があがっている。戦争による経済問題への対応においても、今回の演説では限界がはっきりと見えていた。ワシントン・ポストは「戦争勃発以降、米国内のガソリン価格が1ガロンあたり4ドルを超え、有権者の経済的不満が高まっているにもかかわらず、ホワイトハウスはそれを緩和する具体的な対策を示していない」と指摘した。ガーディアンも、トランプ大統領が「戦争が終わればホルムズ海峡の封鎖が自然に解除され、原油価格は急速に下がるだろう」という楽観的な見通しを繰り返し示すだけで、実際の市場不安を鎮める政策的対応が不十分だと分析した。
演説で言及されたイランとの交渉についても、実質的な内容はなかった。ワシントン・ポストは「トランプ大統領が以前イランに提示した15項目の要求や、当日の午前に自らソーシャルメディアへの投稿で主張した『イランの停戦提案』について、演説の中で一切言及しなかった」と指摘した。イラン政府はトランプ大統領が言及した停戦提案を「偽り」だと一蹴し、全面的に否定している。イランはさらに一歩踏み込み、ホルムズ海峡の支配権の承認や米軍・イスラエルの空爆に対する戦争賠償金なども要求している。
トランプ大統領が中身のない国民向け演説を行ったのは、復活祭(4月5日)の連休を前に冷え込んだ世論をなだめるためという分析もある。オンラインリサーチ会社「YouGov」の世論調査によると、開戦直後の37%だった戦争支持率は、1カ月で28%に急激に落ち込んだ。大統領の支持率も33%で、就任以来最低水準だ。そのため、今回の演説は当初から「企画意図」が「国民への訴え」に焦点が当てられたものとみられる。戦争の出口戦略を具体的に説明するよりも、米国の勝利が目前に迫っているとし、戦争の正当性と成果を米国有権者の目線に合わせて説明したということだ。
実際、トランプ大統領は今回の演説で「目標達成が間近」だとして、原油価格の急騰と戦争の長期化に対する国民の懸念を和らげることに力を入れた。戦争支援を拒否した北大西洋条約機構(NATO)など同盟国を非難するのではなく、戦争は問題なく進んでおり、まもなく終結することを強調した。ワシントン・ポストは、今回の演説が「原油価格の急騰と経済世論の悪化で追い込まれたホワイトハウスが、(11月の)中間選挙を6カ月後に控え、余波を収拾しようとする試み」だと報じた。
韓国外国語大学のユ・ダルスン教授(ペルシア語・イラン学科)は「今回の戦争で出口戦略を見つけられるかどうかは、今後約一週間が正念場になるだろう」とし、「イラン軍部から強硬な公式反応が出るだろうし、米国とイスラエルがイランに対して大規模な空爆を行う可能性があるが、イランの石油施設が攻撃対象に含まれるかどうが今後の行方に大きく影響するだろう」と見通した。